下北沢通信

中西理の下北沢通信

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PARCO Production(ももクロミュージカル)「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」(2回目)@舞浜アンフィシアター

PARCO Production(ももクロミュージカル)「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」(2回目)@舞浜アンフィシアター

公演日程2018年9月24日(月・休)~2018年10月8日(月・祝)
会場舞浜アンフィシアター
作鈴木聡
演出本広克行
出演百田夏菜子 玉井詩織 高城れに 佐々木彩夏
ももいろクローバーZ
妃海風 シルビア・グラブ

井田彩花 伊藤彩夏 大澤えりな 草野未歩 KUJINKO 小石川茉莉愛 佐藤マリン 滝澤梨吏華
二橋南 MIO 八尋由貴 結木春衣 吉田 藍 大澤信児  加藤貴彦 sho-ta Anna


 2回目の観劇。この日新たに気がついたことも書き加えていくが、まずは第2幕のことから。第一幕の終わりでカナコがほかの3人を集め、「踊りたい」というので高校ダンスコンクールの会場にいくかと思うと、なぜか何かのオーデション会場に迷い込む。そこは新しいアイドルグループのオーデション会場で、4人はそのオーディションに合格。総勢9人でアイドル「HEAVEN」の活動がスタートする。
こうして第2幕の前半部分はアイドルが演じるアイドルについての物語になっていくのだが、これは不思議といえば不思議である。もちろんアイドルもダンスを踊るのは踊るけれど「ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?」というぐらいだからこのミュージカルはダンスについての話のはずだったのではないかとの疑問が脳裏をよぎるが、この作品ではその辺りもけっこうアバウトなのだ。
 ただ、「HEAVEN」のライブの場面は「あり得たかもしれないもうひとつのももクロ」を連想させる意味で楽しい。1回目観劇のレビューの冒頭近くにこの作品についていわゆるミュージカルというよりは演劇的な要素を取り入れたライブコンサートの新趣向と書いたが、この書き方にもちょっとした保留事項は必要だろう。というのはこの作品の一番ライブ的な部分はももクロのライブではなくて、HEAVENのライブだからだ。実はこのことはももクロのファン(モノノフ)をかなり当惑させた。
 どうやら本広監督はこの部分でコールをしてもらいたいようで、ツイッターなどでもそのように発言しているのだが、どうもコールというものが分かっていない節があると感じられる。
 というのはこのライブはももクロのライブではなく、あくまでHEAVENのライブである。だから、コールはHEAVENへのコールじゃなくてはいけない。ただ、私の周囲のその辺りに詳しいモノノフに聞いてみてもHEAVENへのコールはしにくいという。実はももクロの過去のライブで似たようなシチュエーションは以前にも何度かあった。ひとつはNHKドラマの「天使とジャンプ」に出てきたアイドルグループTwincle5でこのグループには番組中で緑色の天使、原 江梨子(通称:リコピー)、紫の天使、五十嵐弥生(通称:ドッキー)、ピンクの天使、小野 春乃(通称:のんのん)、黄色の天使、川添 美奈(通称:ミーニャ)と愛称と本名がはっきり分かり、Twincle5のオタクがデパートの屋上ライブでミーニャなどそれぞれのメンバーの名前をコールする場面もあったので、ももクロライブで歌った時にこのコールをコピーして叫んだ豪のものもいたようだが、今回は厳しい。この時、コールした人によればももクロ以外のメンバーにはソロパートがないため、名前コールを入れられないからということだった。
 さらに私自身も別の面から似たようなことを感じた。HEAVENはももクロがそうであったように最大9人だったのが、それぞれの事情で卒業して最後は4人になってしまう。この場合、劇中の4人とももクロは同じ名前なのでももクロメンバーにだけ無理やりコールを入れることは不可能ではないが、それをするとソロパートもらえない不人気メンが順番にやめていくみたいな風になってしまいかねないのだ。
 2回目で初めてオベラグラスでももクロ以外のHEAVENの表情などを眺めることができたのだが、特にダンスではアイドルのプロであるももクロメンバーと遜色なく、そのままアイドルグループのメンバーとも思われるような演技を頑張っていたのに感心させられた。今回は筋立てが分かっていることもあり、最初一緒に踊っていた9人のメンバーのうち5人は卒業してしまうのは分かっているのでなおさら身に詰まされる。それは何も私が杏果推しだったからだけではないと思うがよく分からない。特に最後に抜けることになる2人は「猛烈~」などをももクロメンバーと完全に一体化したフォーメーションを組んで踊るから、ソロパートこそないものの相当以上の負担がかかっているはず、なんてことを考えていたら卒業の場面ではグッとくるものがあった。緑の髪飾りをつけた人が気になったのだが、何という人だろう。
HEAVENはももクロを模したグループだけれどももクロではない。劇中のパラレルワールドというキーワードの通りにHEAVENはももクロメンバー、そして我々がいる世界とは別世界にいる別のアイドルグループである。だから、ミュージカル作品という意味ではももクロのメンバーもそこではそこではそこではHEAVENを演じているし、メンバー以外の女優たちもそうなのだ。そして見ていて興味深いのは初日よりこの日はそうだし、3回目に見た舞台ではさらにそうであるようにそこではHEAVENというグループのそれぞれのリアリティーが日ごとに深まっていって実在のグループ感が増しているように感じられたことだ。
 実のところ、今回HEAVENのももクロ以外のメンバーは実際には短い時間のパフォーマンスでありながら、プロのアイドルであるももクロメンバーに混じって、遜色のないフォーメーションのダンスを踊りこんでおり、HEAVENのダンスは厳密に言えばももクロの振付とは違うとはいえ、元がももクロナンバーゆえに他のアイドルと比べれば相当以上に激しいものであることは間違いない。それを見劣りせずについて行っているというのは(ソロの歌パートがないとはいえ)相当な努力の賜物だと思われ、それゆえにそれぞれの卒業の場面ではグッときてしまったのである。(3回目に続く)

【ももクロMV】ももいろクローバーZ『天国のでたらめ』Music Video

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