下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

0-01-01から1ヶ月間の記事一覧

維新派「ナツノトビラ」ACT原稿

「関西ダンス時評」という形で連載を開始したわけだが、今回はあえて維新派「ナツノトビラ」(梅田芸術劇場)を取り上げることにした。維新派はもちろん一般にはダンスとは見なされていないが、この「ナツノトビラ」にはダンス的な要素が多く、「ダンスとし…

KIKIKIKIKIKI「おめでとう」

KIKIKIKIKIKI「おめでとう」(振付・構成・演出=きたまり)を京都アトリエ劇研で見た。関西で今もっとも注目すべき若手コリオグラファーの名前を挙げろ、といわれたら、きたまりの名前を挙げざるをえない。そのぐらいここ最近の彼女の活躍は際立っている。昨…

下書き

>何より不思議なのは、「身体表現」や「演劇」よ >り、「ダンス」は意味範囲の狭い語なので、何を >好きこのんでそんなところに閉じこめる必要があ >るのか、ということです。 門さん。誤解があるのではないでしょうか。「『コンテンポラリーダンスとし…

維新派「nostalgia」

「nostalgia」*1には「<彼>と旅する20世紀三部作#1」という副題がつけられている。つまり、三部作の最初の作品となるわけだが、主題(モチーフ)的にもこれまでの作品から少し変化が見られ、次の段階(フェーズ)に入った印象が強い。「キートン」「ナツ…

日本のコンテンポラリーダンス

欧米の目から日本のコンテンポラリーダンスを見た時には山海塾(SANKAIJUKU)、勅使川原三郎(SABURO TESIGAWARA)+KARAS、ダムタイプ(Dumb Type)が代表的なイメージとなるかもしれない。だが、現在の日本のコンテンポラリーダンスの全体像を俯瞰して眺め…

渡辺源四郎商店「小泊の長い夏」(7月15日ソワレ=ザ・スズナリ)

渡辺源四郎商店「小泊の長い夏」(作演出・畑澤聖悟)を観劇した。近未来の青森。描かれるのは日本海に面した津軽半島・小泊にある小さな神社、大照神社(おおてるじんじゃ)である。ここには美しい夕日を信仰し、代々続く秘術を人知れず守り通してきた老宮…

ディディエ・テロン+Monochrome Circus

ディディエ・テロン+Monochrome Circus 京都に本拠を置くMonochrome Circusは国際ワークショップフェスティバルを主催するなど単独カンパニーの枠組みを超える活動をしてきた。フランスの振付家ディディエ・テロンの新作とカンパニーの小品で構成された今回…

「ゲーム感覚で世界を構築 シベリア少女鉄道とヨーロッパ企画 」

2000年以降の日本現代演劇の新たな方向を代表する劇作家としてシベリア少女鉄道の土屋亮一とヨーロッパ企画の上田誠を取り上げたい。以前に本誌で岡田利規(チェルフィッチュ)と三浦大輔(ポツドール)を取り上げたが彼らと比べても土屋らが新世代に入る気…

岡田利規と三浦大輔(「悲劇喜劇」収録原稿)

平田オリザや岩松了、長谷川孝治、松田正隆ら90年代の「関係性の演劇」の影響を受けながらも、先行する作家たちと志向性の異なる若手劇作家が今世紀に入り、相次ぎ登場している。そうした「ポスト平田オリザ」世代の劇作家のなかでももっとも目立つ存在でも…

クロムモリブデン「マトリョーシカ地獄」(5月11日ソワレ=大阪in→dependent theatre 2nd)

クロムモリブデン(以下クロムと省略)の新作「マトリョーシカ地獄」(作演出・青木秀樹)をin→dependent theatre 2ndで見た。「直接Kiss」(2003年)、「なかよしShow」(2004年)、「ボーグを脱げ」(2005年)、「ボウリング犬エクレアアイスコーヒー」(…

DANCE CIRCUS(その2)

市川まや「天井の上は、ソラ。」にやられた。奥の黒い壁に3本の矢印(↑↑↑)が白いビニールテープで貼り付けてあり、それをはがし壁と舞台に左右に平行する2本の線とその線と直角に交差する何本かの線を作っていく。そうして空間構成された上でゆっくりした…

クロムモリブデン「なかよしshow」

クロムモリブデン「なかよしshow」(伊丹アイホール)は2003年のベストアクトに選んだ「直接KISS」を上回るほど刺激的な舞台であった。 今回、青木が題材に選んだのは劇団。芝居は自殺未遂を起こした女子高生コッコ(奥田ワレタ)が笑いを取り戻そうと落語の…

DANCE CIRCUS(その1)

「Sister」がよかった。表題は姉妹のことかと思うとそうではなくて、尼僧のシスターなのだが、尼僧姿で登場したyumがしだいにあられもない姿を晒していくという少しきわどい作品。ダンスの動きのなかに性的な隠喩を明らかに匂わせるものがあったり、解釈しだ…

Yummy Dance「もももってきてちょうだい」「即興ライブ」

Yummy Danceは松山に本拠を置く女性だけのダンスカンパニーである。この集団はいろんな作品を見てきたにもかかわらず私のなかでカンパニーとしての色合いがひとつの焦点を結ばないきらいがあった。なぜそうなんだろうと考えながら、この日の舞台も見たのだが…

Noism06「sense-datum」

Noism06「sense-datum」(アートシアターdB)を観劇。 現在もっとも注目されている若手振付家・ダンサーである金森穣の率いるNoismの新作「sense-datum」(5月23日ソワレ)を見た。Noismは日本では唯一の公立のコンテンポラリーダンスカンパニーだ。新潟市…

私が選ぶ2006年ベストワン

機関誌「join」特集 「私が選ぶ2006年ベストワン」 お名前 中西理 ご所属のある方はお書き下さい 演劇・舞踊評論 2006年1月1日〜12月31日に上演された中からお書き下さい。 該当なしの場合は空欄にしてください。いただいた原稿はそのまま掲載いたしま…

KIKIKIKIKIKI「プロポーズ」

KIKIKIKIKIKI「プロポーズ」(振付・構成・演出=きたまり)は京都造形芸術大学の卒業制作公演として上演されたのだが、ひと目見て感じた印象は「完全に学生の制作の域を超えている」ということだった。 きたまりは大阪のダンスボックスを拠点に活動する舞踏…

「ソウル市民」3部作

平田オリザによる「ソウル市民」3部作は非常に興味深い舞台であった。この3部作はそれぞれが独立した作品でありながら、あきらかに同一の形式(最後に明らかに不条理なことが起こって終わることなど)が変奏を加えながら反復されるという特異な構造を持っ…

2005年演劇ベストアクト − 私が選ぶ10の舞台

2005年演劇ベストアクト 1,矢内原美邦プロジェクト「3年2組」(吉祥寺シアター) 2,ポかリン記憶舎「短い声で」(東京デザインセンターガレリア) 3,ポツドール「愛の渦」(シアターTOPS) 4,チェルフィッチュ「目的地」(びわ湖ホール)「ポスト*労苦の終…

2006年演劇ベストアクト

私個人の2006年演劇ベストアクトを掲載することにしようと思う(こちらもコメントは後ほど掲載の予定)。さて、皆さんの今年のベストアクトはどうだっただろうか。コメントなどを書いてもらえると嬉しいのだけれど。 2006年演劇ベストアクト 1,維新派「ナツ…

2005年演劇・舞踊年間総括アンケート

「シアターアーツ」06春号特集 「2005年演劇・舞踊年間総括アンケート」 ア ン ケ ー ト ☆締切=1/20 名前 中西理 所属 フリー(演劇・舞踊評論) 1、舞台ベスト51 矢内原美邦プロジェクト「3年2組」(吉祥寺シアター) 2 ポかリン記憶舎「短い声で」…

2006年ダンスベストアクト

今年も遅れてしまったが、私個人の2006年ダンスベストアクト*1を掲載することにしたい。 2006年ダンスベストアクト 1,砂連尾理+寺田みさこ「I was born」(こまばアゴラ劇場) 2,Monochrome circus+藤本隆行(ダムタイプ)「Refined Colours」(滋賀会館)…

2005年演劇 今年の収穫

機関誌「join」52号特集 「私が選ぶ2005年ベストワン」 ア ン ケ ー ト ☆締切=1/11 お名前 中西理 ご所属のある方はお書き下さい 演劇・舞踊評論 2005年1月1日〜12月31日に上演された中からお書き下さい。 該当なしの場合は空欄にしてください。いた…

2006年今年の収穫

◎「2006年今年の収穫」 中西理(中西理の大阪日記)http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/ 「悲劇喜劇」(早川書房)アンケート A=戯曲 1.前田司郎「さようなら僕の小さな名声」(五反田団) 2.前田司郎「ふたりいる景色」(五反田団) 3.畑澤聖悟「…

2005年演劇ベストアクト(下書き)

私個人の2005年演劇ベストアクトを掲載することにしたい。(ダンスパフォーマンス編は後ほど掲載の予定、まずは表のみ)。さて、皆さんの今年のベストはどうだったでしょうか。コメントなどで書いてもらえると嬉しいけれど。 2005年演劇ベストアクト 1,矢内…

80年代的“笑い”のラジカリズム

唐十郎ら60年代、つかこうへいら70年代のアングラ演劇・小劇場演劇においても笑いは重要な構成要素ではあった。しかし、それはあくまで物語を展開していくうえでの副次的要素にすぎなかった。ところが80年代に入って大きな転換点が現れる。笑い原理主義の出…

えんぺ大賞ノミネート(下書き)

■演劇公演 1,クロムモリブデン「ボーグを脱げ」 2,チェルフィッチュ「目的地」 3,くじら企画「海のホタル」 4,ポかリン記憶舎「短い声で」 5,クロムモリブデン「ボウリング犬エクレアアイスコーヒー」■パフォーマンス公演 1,矢内原美邦プロジェクト「3年2組…

坂本公成+佐伯有香「怪物」

佐伯有香はソロ「怪物」(振付・坂本公成)でアゴタ・クリストフの小説に登場する美しい怪物を強靭で柔軟な身体を生かし具現させる。ムーブメントは一見単純で反復の多いものだが、魅力は反復を通じての身体の変容にある。いまだ成長の途上で、底が見えない…

2005年の演劇界の収穫

◎「2005年今年の収穫」 中西理(中西理の大阪日記)http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/ 「悲劇喜劇」(早川書房)アンケート A=戯曲 1.三浦大輔「愛の渦」(ポツドール) 2.大竹野正典「海のホタル」(くじら企画) 3.岡田利規「目的地」(チェル…

振り返る私の2006

◎「振り返る私の2006」 中西理(中西理の大阪日記)http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/1.維新派「ナツノトビラ」@梅田芸術劇場 2.五反田団「ふたりいる景色」@こまばアゴラ劇場 3.ポかリン記憶舎「煙の行方」@須佐命舎 私にとって今年(2006…