下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

これから観る舞台2月前半by中西理

うずめ劇場『砂男←→砂女』安部公房砂の女」、E.T.A.ホフマン「砂男」
演出:ペーター・ゲスナー、天野天街少年王者舘
2/7(金)〜11(火)下北沢ザ・スズナリ 5,000円
この公演は同じキャストを使って『砂女』『砂男』と題された新作2本を交互上演する企画で、ペーター・ゲスナーは安部公房作「砂の女」を戯曲化した『砂女』を演出。『砂男』の演出は少年王者舘天野天街。日本の小説をドイツ人のゲスナー、ドイツの小説を天野が脚色・演出するという異色の日独対決となる。
多田淳之介×きたまり『RE/PLAY(DANCE Edit.)』(構成・演出:多田淳之介)
2/14(金)〜16(日)  横浜・急な坂スタジオ 3,000円
 ダンス企画「We Dance京都」(2012年)の目玉作品として関西のダンサーが参加し東京デスロック「再/生」をダンス作品として再制作したのが『RE/PLAY(DANCE Edit.)』。今回はその作品を横浜でオーディションしたダンサーらにより再演する。プレイヤーで音楽を再生するように何度も何度も同じ振付が繰り返されるなかで、観客は人間は生きてそして死ぬという誰もが知っていながら忘れていた現実を幻視させられる。ポスト3・11の舞台表現がそこにあった。
オフィス・コットーネ・アナザー公演『サヨナフ ピストル連続射殺魔ノリオの青春』(作:大竹野正典、演出:シライケイタ)
2/6(木)〜11(火)千歳船橋・APOCシアター 3,000円
 関西の劇作家・大竹野正典(故人)作品の連続上演を小劇場空間で続けているオフィス・コットーネ・アナザー公演。今回は大竹野が得意としていた昭和史に残る実際に起こった事件に材をとったシリーズの中からピストル連続射殺魔、永山則夫の死刑前日の一夜を描いた作品だ。大竹野は殺人者・永山を断罪するのではなく、誰の中にもある孤独に共感を求め、人間の哀しみを描いた。タイトルの「サヨナフ」はカタカナしか書けなかった永山の母が置手紙にあわてて書いた「サヨナラ」の「ー」の抜けた文字からとった。
革命アイドル暴走ちゃん『騒音と闇』(構成・音楽・演出:二階堂瞳子
2/14(金)〜16(日) 相鉄本多劇場 3,300円
 バナナ学園純情乙女組を解散、昨年4月に革命アイドル暴走ちゃんを旗揚げし、欧州ツアーを敢行していた二階堂瞳子の日本復帰公演。前身のバナナ学園は毀誉褒貶を含みながらもポストゼロ年代劇団のなかでも異彩を放つ活動で注目を集めたが、惜しむ声もあるなかで解散。再出発となった二階堂が見せてくれるのは今度はどんなパフォーマンスなのか。
弘前劇場『アザミ』(作・演出:長谷川孝治
2/13(木)〜16(日)下北沢・ザ・スズナリ 4,800円
 弘前劇場長谷川孝治には津軽方言を生かした群像会話劇のほかに少人数の出演者で、暴力的な関係性を含む、人間存在の葛藤を突き詰めたフラグメント・シリーズがあるが、優れたラジオ劇の脚本家でもある大学教員を主人公に物書きの業というものを抉り出した「アザミ」はその代表作といえる。これまで何度も再演を繰り返して高い評価を得てきた作品だが、今回は客演に村田雄浩が招かれ、大学教員役を演じる。初舞台の伊勢未知花は1970年代、「かぐや姫」、「風」のメンバーとして活躍した伊勢正三の娘。
英文訳戯曲集につけた解説 http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000019
SPAC『真夏の夜の夢(作:ウィリアム・シェイクスピア、脚色:野田秀樹、演出:宮城聰)
2/1(土) ・9日(日) ・15日(土) ・23日(日) ・3/1(土) 静岡芸術劇場 4,000円
 富士山麓の「知られざる森」の中、紙に書かれた文字が踊り出て人の形に。影法師が発した言霊は人を動かす言葉となり、木霊となって木々を揺らす。野田秀樹が、シェイクスピアを下敷きに、得意の言葉遊びを駆使して紡ぎだしたのが「野田版 真夏の夜の夢」。野田による言葉遊びに溢れた劇世界を宮城聰は俳優の躍動感あふれる生演奏と一体となった壮大な音楽劇に仕立て上げた。2011年6月初演され、わずか2ステージだけ上演された幻の舞台を再演ロングラン公演する。

柿喰う客『世迷言』(作・演出:中屋敷法仁)
1/29(水)〜2/4(火) 本多劇場 5,500円
 「これまで下北沢を避けてきた」という中屋敷法仁が満を持しての初の下北沢進出をいわば小劇場演劇のメッカである本多劇場にて行う。1年半ぶりの劇団新作公演は篠井英介を客演に迎え、「竹取物語」「今昔物語」などの日本の古典文学を下敷きに竹取物語を思わせる爺や姫、女鬼や大猿の一族が跋扈して展開するいわば中屋敷版「新作歌舞伎」。ポストゼロ年代劇団☆新感線を目指すのか?



 




中西理