下北沢通信

中西理の下北沢通信

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笑の内閣「信長リモート・武将通信録」  プレ配信 & 宮台真司×高間響特別webトーク

笑の内閣 信長リモート・武将通信録  プレ配信 & 宮台真司×高間響特別webトーク

笑の内閣は社会的な問題をコメディーに落とし込んで展開していく作風の劇団だが、もうひとつの特徴は実際の舞台の後に広く各界のゲストを呼んでアフタートークを試みるということも売りのひとつなのである。
しかも、通常の劇団のアフタートークと比べると極めてそのゲストの間口が広いというのも特徴で例えば2016年の東京公演『ただしヤクザを除く』@東京・こまばアゴラ劇場 でのアフタートークゲストのラインナップを紹介すると以下のようなものとなる*1

アフタートークゲスト
7月13日(水)19:30 蓮 鈴木邦男氏(一水会顧問)
7月14日(木)19:30 蓮 菅野完氏(「日本会議の研究」著者)
7月15日(金)19:30 桜 安田好弘氏(弁護士)
7月16日(土)13:00 蓮 宮崎学氏(作家)
7月16日(土)17:30 桜 広田淳一氏(作家・演出家・アマヤドリ主宰)
7月17日(日)11:00 桜 阿蘇山大噴火氏(裁判傍聴芸人)
7月17日(日)15:30 桜 宮台真司氏(社会学者)

 この時のリストにも鈴木邦男氏から菅野完氏、そして今回ZOOM対談を行った宮台真司氏に至るまで様々な相容れないような思想的な考え方の人が含まれるが、なかでも鈴木氏や宮台氏のように毎回笑の内閣の舞台を楽しみにしていて、アフタートークにも出てくれるような常連の応援者もいて、高間響の個人的な政治的な考え方*2を越えて、そうした人たちを惹きつけていることこそ、この劇団の最大の武器だと思っている。
 今回の作品は完全リモートによる作品だが、本編上演に先立ち宮台真司氏をゲストに迎えてのトークがZOOMにより開催された。
 これが実は2時間以上に及ぶ長尺のもので、それだけでも驚くべきことなのだが、内容的にも刺激的なものでちょっと長すぎたのではと思わなくもないが、非常に興味深いものであったことも確かなのであった。
トークは演劇とテクノロジーの話題からスタート。宮台真司氏が挑発的に劇場で公演ができなくなっているので、ZOOM演劇でもしょうがないみたいな話になりがちだが、寺山修司ならばもし当時ZOOMという技術が存在すればきっとそれを取り込んだ演劇作品を作っていたはずなどと高間響を挑発。それを受けて高間も「少し変わった言い方になるけれど、僕は今回の作品にZOOM演劇で可能な今思いつくすべてのアイデアを放り込んで、これ1本でZOOM演劇を終わらせるような意気込みで作品作りに取り組んでいる」と応じた。
 その後も話は演劇とプロレスの話、虚実ないまぜの話、リアリティードラマとプロレスの話とトピックを拾いながらも考える素材としても魅力的な主題が続いた。
 さらに後半では鬱病で苦しんだという高間が自らの体験を赤裸々に語り、それに宮台が自分自身もそれを経験したことがある当事者として、さらに社会学の研究者として高間の議論に応じるなどきわめて深い内容となっていたのではないか。お酒の入っていないZOOMの対談であることもよかったかもしれない*3
 リモート演劇「信長リモート・武将通信録」は「もし信長の時代にZOOMがあったら」というばかばかしくも大胆な設定で展開される歴史劇でこの日は冒頭の30分のみが上演されたが、それだけでも続きが観たくなるかなり面白いものであった。

信長リモート・武将通信録  プレ配信 & 宮台×高間特別webトーク

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:立憲民主党から京都市議選に立候補し落選。

*3:ゲンロンで以前あった東浩紀氏とのトークは前半はともかくワインを飲み過ぎたせいで後半はベロンベロンになり、出身地の北海道での演劇エリートであったマームとジプシーの藤田貴大氏へのルサンチマンを話し続けてひどい有様であった