下北沢通信

中西理の下北沢通信

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笑の内閣「信長のリモート 武将通信録 シナリオ2 麒麟がこぬ」(2回目)

笑の内閣「信長のリモート 武将通信録 シナリオ2 麒麟がこぬ」(2回目)

 「信長のリモート 武将通信録」シナリオ1「本能寺のzoom」は織田信長明智光秀によって本能寺に討たれた天正10年(1582年)において、もしネットがあり信長傘下の武将たちがZOOMで軍議をしていたらというSF的設定を取り入れたZOOM時代劇である。信長側を描いたシナリオ1「本能寺のzoom」と明智側を描くシナリオ2「麒麟がこぬ」 を2夜連続で上演。アーカイブの配信最終日となる7月6日に2度目の観劇をした。
 信長傘下の武将たちがZOOM軍議を描いた「本能寺のzoom」に対して、こちらは明智軍のZOOM軍議を描いたもの。アフタートークでの高間響の解説によると、テレビドラマとして三谷幸喜が描いたクリスティーの「オリエント急行殺人事件」のドラマ化とその裏事情を犯人側から描いたオリジナルとの2本立てがヒントになったということのようだが、本能寺の乱を描いた作品としてはこちらは明智軍の右往左往を描きながらも歴史史上に残る最大の謎のひとつである「なぜ明智光秀は突然謀反を起こしたのか」に迫る内容となっている。
 一般的に人口に膾炙している天皇黒幕説、室町将軍黒幕説などを退けたうえで、この作品では結果的には明智光秀双極性障害躁うつ病)説をとっている。この仮説をそれなりに説得力のあるものとしているのは「信長のリモート」を構想する前に作者の高間響自らが極度の鬱病を患い、京都から北海道に戻り、専門医による治療を受けていたという体験があったことで、光秀の不可思議な振る舞いは高間自らが体験したこの病気の病症に合致するところが非常に多いと感じたからだったようだ。
 このシナリオ2がなかなか良くできていると感じたもうひとつの理由はリモート軍議という架空の設定をうまく使って秀吉のしたたかな性格を見事に描き出していること。
秀吉を演じた髭だるマンの演技とも相まって、状況がこうだったら秀吉はこう振舞ったかもを思わせる信ぴょう性も感じさせるものであった。
 現代の世相を取り入れた様々な小ネタにも笑わせてもらったが、高間自らが演じた正親町天皇の生前譲位ネタには大いに笑わせてもらった。登場する武将のキャラクターでは裏切りキャラとして広く知られる筒井順慶にもその「らしい」演技に爆笑した。
 
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