下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。

ロロが高校生に捧げるシリーズ いつ高シリーズvol.8『心置きなく屋上で』@横浜KAAT

ロロが高校生に捧げるシリーズ いつ高シリーズvol.8『心置きなく屋上で』@横浜KAAT

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三浦直之とロロはコロナ自粛にともないいち早くZOOM演劇のビデオ電話で交流する人々を描く連作短編通話劇シリーズ ロロ『窓辺』を配信。その当時の新たな状況にいち早くビビッドに対応したが、今回は十分なコロナ対策をしながら、観客を入れての公演にもいち早く取り組んだ。
「いつ高シリーズ」の最新作。屋上を舞台に大スタジオの広い空間を使用し、作品上演中につねに送風機による風が舞台上を吹き続けるなどコロナ対策にも配慮した作品となっていた。
 いつ高シリーズは正式名称が「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校シリーズ」。第三高等学校という架空の学校を舞台にその学校のいろんな場所で、複数のおなじみキャラクターが活躍するさまを描き出していく群像会話劇だが、作品ごとに教室、自転車置き場、中庭の渡り廊下、図書室など場所と時間を変えながら小さな物語をつないでいくことで、結果として連作全体ではそこにいる集団全体を描き出していくようなミニマルでありながら壮大なプロジェクトとなっている。
 シリーズを開始したころから、全体としては10年間で10本の作品を創作するとの計画を明らかにしていたが、今回の作品がvol.8だから、この作品の終了後残されたのはあと2本。シリーズは最終局面に入ったといってもいいかもしれない。
 ロロの本公演作品では説明もなしに不可思議な現象が起こることは珍しくなくて、現代演劇でありながらファンタジーとの親和性が高いことが特徴といってもいいのだが、こと「いつ高」シリーズに関して言えば現実に起きたことのスケッチの様相が強く、非日常的な現象が起こるのは、学校に住む幽霊の登場ぐらいだったのではないかと思う。そういう意味では魔法陣でかけた魔法により登場人物のひとりが空高く舞い上がるという場面のある今回の作品はシリーズ中での異色作といえるかもしれない。
 筋立てとしては過去の複数の作品に別れたカップルとして描かれた太郎と海荷の縒りが戻るのかというのが作品の中核となっている。結果として縒りは戻らないのだが、なぜそうなるのかというのはこの舞台からだけではよく分からない。今後の作品で再度描かれるのかもしれない。 

ロロが高校生に捧げる新シリーズ
2020年09月09日(水)~2020年09月13日(日) 
いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校シリーズ

本作は「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校」が舞台の連作群像劇です。教室、下駄箱、屋上、図書室、学内のあらゆる場所で「まなざし」をテーマに様々な物語を発表します。俳優はシリーズを通して同じ登場人物を演じ、作品ごとに主人公が代わります。学内で起こる小さな事件の”ここ”と”あそこ”がまなざしで繋がれてゆき、シリーズ全体で大きな物語となっていく様をぜひお楽しみください。

脚本・演出|三浦直之

出演|篠崎大悟 森本華(以上ロロ) 多賀麻美(青年団) 田中美希恵 端田新菜(ままごと/⻘年団)

脚本・演出 三浦 コメント 
~いつ高シリーズを始めたキッカケ~

高校演劇の審査員を務めさせてもらうようになって、少なくない数の作品を拝見して、僕がなによりも感銘を受けたのは、上演の準備に対する姿勢です。ほとんどの高校にとってはたった一回で終わってしまう上演を成功させるための準備。セリフを発する準備、空間をつくる準備、物語を始める準備、演劇を立ち上僕は高校演劇を通して、演劇っていうのはほとんど準備のことなんだなあと教えてもらいました。準備への姿勢に強く感動した僕は、次第にその手伝いをしたいと思うようになりました。準備の手数を、ほんのちょっとでも楽にしてあげることはできないか。そこで、僕も60分の戯曲を書いてみることにしました。それが「いつ高シリーズ」です。このシリーズを通して紡ぐ物語が、言葉が、高校生が上演の準備をするときに少しでも役立ってくれたらとても嬉しいです。

いつ高シリーズは、高校生に捧げます

1テーマは「まなざし」

2いつ校シリーズは全作品、全国高等学校演劇コンクールの出場ルールを守ります

3上演時間は60分以内、10分間で行われる舞台美術の仕込みを公開します(照明や音響の設営を除く)

4高校生の観劇料を無料にします

5戯曲を全て無料公開します

6部員数に合わせた二次創作を歓迎します

全国高等学校演劇コンクールとは

・全国の高校演劇部にとっての甲子園!

・上演は各校入れ替え制。地区大会では平均15校の作品が1つの舞台で上演されます

・作品の上演時間の制限は60分

・10分という制限時間内で、各校舞台美術などのセッティング(準備)をしなければなりません

・出演者だけでなく、音響照明等の操作も上演校の現役生徒、もしくは顧問の先生のみが許可されています

・地域により、火や水の使用、美術を破損、飲食など、舞台を汚す可能性のある演出は、他校への配慮で禁止されています(いつ高シリーズは上演する地域のルールに準じます)

・地区大会から勝ち上がると劇場サイズが変わることが多く、スケール感の調整が難しいのも現状です

<ご来場の皆さまへのお願い>

KAAT神奈川芸術劇場では新型コロナウイルス感染拡大予防対策を徹底し主催公演を実施します。ご来場前に必ず、劇場HPの「ご来場のお客様へのお願い」をご確認ください。また、当面の間、入場者数を制限して上演します。

[STAFF]

美術|中村友美 
照明|久津美太地(Baobab) 
音響|池田野歩 
舞台監督|湯山千景

演出助手|中村未希 山道弥栄(木ノ下歌舞伎) 
イラスト|西村ツチカ 
デザイン|佐々木俊 
制作|奥山三代都 坂本もも

協力|écru 青年団 レトル ままごと 合同会社Conel Baobab 木ノ下歌舞伎 合同会社範宙遊泳

急な坂スタジオ ローソンチケット

助成|調整中

提携|KAAT神奈川芸術劇場

企画制作・主催|合同会社ロロ

■お問い合わせ

tel=090-8595-7794(制作)

mail=llo88oll.yoyaku@gmail.com

特設サイト=http://lolowebsite.sub.jp/ITUKOU/