下北沢通信

中西理の下北沢通信

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勅使川原三郎 シアターΧ公演 『銀河鉄道の夜』

勅使川原三郎 シアターΧ公演『銀河鉄道の夜


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宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が原作。勅使川原三郎ドストエフスキー「白痴」、ノヴァーリス青い花」、ロード・ダンセイニ「妖精の国の娘」など小説を発想のモチーフとした作品を数多く創作しているが、この「銀河鉄道の夜」はほぼ全編に佐東利穂子の宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の朗読テキストが付けられて、物語もその通りに進行しており、その意味では演劇的要素が強い作品といえるかもしれない。
鳥捕りをはじめ、原作中に登場する人物が黒づくめにマスクを付けた黒子的な出演者により演じられはするが、基本的にはジョバンニを勅使川原、カンパネルラを佐東が演じる。日本の小劇場演劇の通例では少年役は男装した女優によって演じられることが多いが佐東のカンパネルラはそうした色合いが強く感じられ、その意味でも演劇色の強さを感じた。
ただ、この舞台では物語が尽きた後に勅使川原のソロ、さらには勅使川原、佐東のデュオがかなりたっぷりと踊られ、その部分で私たち観客は単なる物語を超えたこの作品に賢治が込めた思いのようなものを感じ取ることができ、そこがダンス作品としての肝といえるのかもしれない。作品の中盤に挿入された佐東の赤く輝くサソリのソロも妖艶で美しく印象的であった。
気になったのはカンパネルラとジョバンニの見かけの違いである。カンパネルラ役を演じた佐東は少年に見えるのだが、ジョバンニ役の勅使川原はどうしても少年のようには見えない。もちろん、演劇もダンスも映画などと異なり、見かけがそのままのものを示すというわけではない。
 大野一雄も老齢にして、妙齢の美女を演じたりもした。ただ、今回の舞台の勅使川原の演じ方にはそういうものとは少し違う解釈が含まれているのではないかという気が舞台を見ていてしてきたからだ。
 少年の時にジョバンニはカンパネルラと永遠の別れを経験した。カンパネルラはジョバンニのなかにいまも変わりなく少年としているが、一方で生き残ったジョバンニは大人になり、そして年老いていく。そして、いつの日にか銀河ステーションで二人は再び出会うのかもしれない。ここには老人であり、少年でもある勅使川原三郎の演じるジョバンニがおり、カンパネルラは永遠に若々しい。この舞台を見ながらそんなことを考えた。

■構成・振付・演出・照明・美術:勅使川原三郎
■出演:勅使川原三郎 佐東利穂子 
■日時:2020年
9月19日(土)19:30
9月20日(日)19:30
9月21日 (月・祝) 16:00
9月22日 (火・祝) 16:00
全4回公演
※開演30分前より受付開始
※客席へは開演の15分前よりに記載の整理番号順にご案内します。
■会場:東京 両国 シアターX(カイ)
■料金:全席自由・税込・入場整理番号付
一般 予約 4,500円/当日 5,000円
学生・シニア(65歳以上) 3,000円※各回20枚限定・KARASでの予約のみ


✅ 「東京バレエ団×勅使川原三郎 新作 世界初演『雲のなごり』」が、昨日10月27日に東京・東京文化会館で閉幕した。

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