下北沢通信

中西理の下北沢通信

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青年団リンク キュイ「まだなにもはなしていないのに」Aキャスト(1回目)@こまばアゴラ劇場=公演中止

青年団リンク キュイ「まだなにもはなしていないのに」Aキャスト(1回目)@こまばアゴラ劇場=公演中止

予約募集を中断という告知からすでに予測されたことではあったが、 青年団リンク キュイが公演中止を発表した。今後ほかの演劇公演やライブ公演はどのような判断となっていくのだろうか。いまのところ、政府が非常事態宣言を意地でも出さないっぽいので、判断は分かれそうだが、この問題についてセンシティブな反応を続けてきた綾門優季がまず先陣をきってこういう判断を発表したのはかなり必然的なことだと思うが、青年団全体の判断はどうなるのだろうか。

12月10日より公演を予定しておりました青年団リンク キュイ『まだなにもはなしていないのに』につきまして、東京都での新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を受け、カンパニー側の意向から、公演中止が決定いたしました。

以下、カンパニーからの告知です。

* * * * * *

2020年12月10日から初日を迎える予定としていた『まだなにもはなしていないのに』について、新型コロナウィルスの急速な感染拡大、東京都からの外出自粛要請を受け、座組内で協議の結果、公演中止を決断することとなりました。
すでにチケットを購入・予約いただいていた皆様には、公演直前に、突然このような形でご連絡することとなってしまい、誠に申し訳ありません。
映像配信や延期公演など、予定とは異なる形ではありますが、どうにかしてこの作品を届けるため、引き続き尽力する所存ですので、今はどうかお待ちください。

青年団リンク キュイ 綾門優季
https://cui99iuc.com/madananimo2020/
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今後の公演についても各団体毎に日程も状況も違いますので、新型コロナウイルス感染症対策分科会や政府からの情報等を元に、劇場とカンパニーでひとつひとつ判断していければと考えております。

また、こまばアゴラ劇場では、主催公演はもとより、提携公演、一般貸出公演についても上演団体からの劇場費・キャンセル料は一切取らず、政府・東京都などから出る自粛についての協力費・助成金などを、この損失補填に充てる方針です。
また、中止となった演目の延期による公演の受け入れや、支援会員の皆様に向けた映像配信等も検討しております。
一刻も早く事態が収束し、皆様を劇場に迎えられる日が来ることを願っております。

作:綾門優季青年団リンク キュイ) 演出:得地弘基(お布団/東京デスロック)


このたび、青年団リンク キュイ『ダイレクト/ネグレクト』を来年度8月に延期することになりました。苦渋の決断でした。感染リスクの問題や経済的な問題など、様々な理由が挙げられますが、「旗揚げ10周年記念に向けて、気合いが入りまくっていた去年の私が、過去最大級の長編を発表しようと目論んでいた」のがいちばんの大問題でした。タイムスリップして、去年の私を羽交い締めにしたいです。この状況で、目論みどおりの公演を行えるとはとても思えませんでした。演出の橋本さん、山内さんにまず相談し、その後にキャストのみなさま、スタッフのみなさまと慎重に話し合いを重ねましたが、最終的に延期の方向で一致しました。来年度8月までにコロナ禍が完全に収まっているとは捉えていませんが、戯曲を考え直し、座組を再編する充分な時間は残されています。首を長くして待ったかいがあった、と言ってもらえる公演になるよう、全力を尽くします。あと少しだけ、お待ちください。

さて、私にはもうひとつ、情報公開前に、ひっそりと延期にしていた新作公演がありました。それが今回発表する『まだなにもはなしていないのに』です。演出の得地さんに戯曲をみせ、使いたい劇場を決め、スタッフにオファーを始めた段階で、コロナ禍が私たちを襲いました。2020年3月のことでした。緊急事態宣言が発出される直前、私のほうから、企画を進めるのはもうやめようと提案し、得地さんも同意し、手元にはだれも声に出して読んでいない戯曲だけが残されました。このような形ではありますが、意外と早いタイミングで、危うく永久の眠りにつくところだった新作が世に出せることになって、感謝の気持ちでいっぱいです。この判断を受け入れてくださった平田オリザさま、こまばアゴラ劇場のみなさま、本当にありがとうございます。

なにがあっても部屋から出ないひきこもりの話なのですが、家にひきこもることがある意味で当たり前となった今、この作品の意味はすっかり変わってしまいました。去年から何故か、こんな内容の戯曲を書いていたというシュールな事実と共に、お楽しみください。

綾門優季

出演

【Aキャスト】和田華子(青年団)、森谷ふみ(ニッポンの河川)
【Bキャスト】緖沢麻友(お布団)、油井文寧

スタッフ

作:綾門優季青年団リンク キュイ)
演出・映像・宣伝美術:得地弘基(お布団/東京デスロック)
音響:梅原徹
照明:黒太剛亮(黒猿)
舞台監督:黒澤多生(青年団
舞台写真:三浦雨林(隣屋/青年団)、福本剛士
記録映像:三浦翔
WEB:犬飼勝哉
制作:黒澤たける(ゆうめい)
芸術総監督:平田オリザ
技術協力:蜂巣もも(アゴラ企画)
制作協力:曽根千智(アゴラ企画)<<