下北沢通信

中西理の下北沢通信

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しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村!「ももクロ勢ぞろい フNs歌謡祭」第115夜@フジNEXT

しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村!「ももクロ勢ぞろい フNs歌謡祭」第115夜@フジNEXT

今回はゲストとしてももクロスターダストプラネットスタプラ)の後輩である秋本帆華(TEAM SHACHI)、堀くるみ(たこやきレインボー)、あいらもえか(愛来鈴木萌花=アメフラっシ)の4人が参加。その歌い手としての歌唱力の高さ、パフォーマーとしてのポテンシャルの高さを見せつけたのではないかと思う。
堀くるみについては司会などバラエティー能力の高さはももクロファンにも知られるようになってきたが、私は実はスタプラメンバーの中でもよく歌がうまいと取り上げられる柏木ひなたなどと並んでもっとも歌がうまいと考えている。たこ虹のパフォーマンスでもそれは感じられはする*1が、彼女がアンサンブルを重視して個性的なほかのメンバーのバランサーに徹しているためにそのポテンシャルは全開になることはあまりない*2
「セクシャルバイオレットNo.1 」は高城れに、「Romanticが止まらない」は鈴木萌花とのそれぞれデュエットであったが、抜群の安定力で相手の歌唱を引き立てるとともに原曲がパワフルな男性の歌唱であることも苦ともせずに対応し、ファンキーな持ち味も発揮して存在感を見せた。玉井詩織と共演した「東京ららばい」もよかったのではないか。
特に高城れにとのコンビはまったく質感の異なるボーカルのコンビネーションという意味で有安、高城の組み合わせの再来を思わせたもので、今後にも可能性を感じた。
とはいえ、この日もっとも印象に残ったのはあいらもえか。特に愛来のアイドルとしてのポテンシャルの高さである。
最近のあいらもえかの歌のうまさはいまさら指摘するほどのことでもなく、当然のこととなりつつあるが、改めて驚かされたのはポニーテール姿であーりんと歌った斎藤由貴の「卒業」。大昔のことだが、当時の斎藤由貴のアイドル力の凄さはいまでも鮮明に覚えている。

斉藤由貴 卒業
この歌では愛来はポニーテール姿にして斎藤由貴に寄せてきているが、注目すべきなのはこの時の斎藤由貴と現在の愛来がほぼ同じ年か、愛来の方が少しだけ若いということ。方向性はもちろん違うけれど、人を惹きつける魅力という意味では肉薄するものを感じた。アメフラっシがまだメジャーデビューしてないというので、運営を責める声がファンの一部にはあるが、息の長いタレントに育てるためには愛来を本格的に売り出すのは来年でも全然間に合うのではないかと思った。
あいらもえかによる「Temptation(誘惑)」(本田美奈子*3もよかった。これも本田が18歳の時の歌であり、松本隆筒美京平縛りとはいえ、松田聖子とかではないのはキャラ的に合う歌を意識してはいるとは思うけれど同年代の歌唱力のある昭和アイドルの曲をぶつけてきたことにはスタダ上層部にもPRしたいとのきくちPの狙いが感じられた。
 以前にももクロ以外の妹グループが大挙して出演した時にモノノフの一部が反発したのは「ももクロしか興味がない」という人たちが一定数以上いたことに加えて、ももクロの出番がその分減ってしまうというのがあったのだと思う。例年ならクリスマスシーズンのフォーク村はもうひとつの「ももいろクリスマス」の様相を呈して大物ゲストが集まるところだが今回はももクロ自身がゲスト扱いなのに加え、準レギュラー格のコアラモードを除けば完全な外部からのゲストは公開中の映画で夏菜子とつながりのある宍戸留美だけに絞りこんで、その分ももクロ側がゲストアーティストとして後輩たちに胸を貸すことになった。
 それでも音楽番組としてのクオリティーが一時期のフォーク村と大違いなのはももクロの歌唱力が向上、きわめて安定しているのに加えて、ここまで紹介してきたように以前のももクロと比べると後輩たちの歌唱力の水準が段違いに高いということにもあるかもしれない。
 特にあいらもえかなどは最近は道場でもある「ガチンコスターダストプラネット」では愛来が「ワダツミの木」や「あなたのキスを数えましょう -You were mine-」、萌花が中森明菜の「DESIRE -情熱-」と簡単には歌いこなせない難曲に挑戦させられており、相対的なものでもあろうが、フォーク村でこの日歌った歌などでは緊張はあるとしても余裕も感じられた。
 この日のハイライトは少年隊の衣装を着て、あーりんとあいらもえかが歌った「stripe blue」だろうか。衣装は「どうなのか」と思うところもないではないのだけれど歌とダンスはさすがのものがあり、特にダンスは振り写しが当日トタだったらしいから、凄いとしか言いようがない。ジャニーズ曲はももたまいの二人でというのがこれまでの定番だったが、浪江女子発組合のメンバーでもあるこの三人には「仮面舞踏会」など少年隊のほかのレパートリーも披露するチャンスが出てきそうだ(さすがにあーりんにバク天の連続技を期待するのは酷だが)。

1987 少年隊 stripe blue
この日の演目で唯一不満を言うとすれば一番最後に歌ったジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス 」のアカペラカバーだろうか。ジョン・レノンのファンで何度も聞いたり、歌ったりしてきた歌だけにメインボーカルがすっきりとしないバランスの悪さが気になった。直前まで練習してたというので単純に練習不足なのかもしれないが……。

セットリスト
M01:サンタさん (村長/ももクロ)
M02:聖夜 -二人のSilent Night- (しおりん/THE ALFEE )
M03:アンダンテ (コアラモード.コアラモード.)
M04:木綿のハンカチーフ (ももクロ秋本帆華&堀くるみ&あいらもえか&コアラモード.太田裕美)
M05:夏しぐれ (村長&しおりん&あんにゅ/THE ALFEE)
M06:雨だれ (れに&あいら/太田裕美)
M07:赤いハイヒール (夏菜子&秋本帆華太田裕美)
M08:セクシャルバイオレットNo.1 (れに&堀くるみ/桑名 正博)
M09:卒業 (あーりん&あいら/斉藤由貴)
M10:Romanticが止まらない (もえか&堀/CCB)
M11:あなたを・もっと・知りたくて (れに&秋本帆華薬師丸ひろ子)
M12:Temptation(誘惑)(あいらもえか/本田美奈子)
M13:魔女 (夏菜子&宍戸留美小泉今日子)
M14:stripe blue (あーりん&あいらもえか/少年隊)
M15:東京ららばい (しおりん&堀/中原理恵)
M16:水いらずの午後 (村長&いづみ/オフコース)
M17:綺麗ア・ラ・モード (あんにゅ&秋本帆華中川翔子)
M18:煉瓦荘 (オールキャスト/太田裕美)
M19:いちご畑でFUN×4 (村長&あーりん/大滝詠一松田聖子)
M20:泣いちゃいそう冬 (ももクロももクロ)
M21:ゴリラパンチ (ももクロももクロ)
M22:マホロバケーション (ももクロももクロ)
M23:イマジン (しおこうじ/ジョン・レノン)
M24:ハッピー・クリスマス (オールキャスト/ジョン・レノン)

概要
しおこうじ=ももクロ玉井詩織×アルフィー坂崎幸之助ももいろクローバーZ!秋本帆華!堀くるみ!あいらもえか!コアラモード!松本隆×筒美京平縛りフNs歌謡祭!

内容
玉井詩織×THE ALFEE坂崎幸之助ダウンタウンしおこうじバンド宗本康兵音楽監督加藤いづみ佐藤大剛・竹上良成・やまもとひかる・小幡康裕+ダウンタウンしおこうじサキソフォンズ=竹神様・後藤天太・才恵加・石井裕太・井出慎二!ゲストももいろクローバー百田夏菜子佐々木彩夏高城れに!TEAM SHACHI秋本帆華たこやきレインボー堀くるみ!あいらもえか愛来鈴木萌花=アメフラっシ!松本隆ほか

*1:たこ虹の実力の高さを示すのがこの音源。ラジオ出演向けに用意したものだが、コロナ禍のため、おそらくたこ虹ハウスか近くのスタジオでLIVE一発録りしている。
たこやきレインボー リモートMEGA MIX LIVE

*2:たこ虹の楽曲もエビ中などと比べると個々が歌い上げるというような曲は少ない。

*3:
本田美奈子/Temptation(誘惑)連続