下北沢通信

中西理の下北沢通信

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たこやきレインボー 有観客ホールワンマンライブ『たこ虹クリスマス2020』@中野サンプラザ

たこやきレインボー 有観客ホールワンマンライブ『たこ虹クリスマス2020』@中野サンプラザ

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たこ虹初のクリスマスライブ(たこクリ)というのが今回のライブの触れ込みでそれは間違いではないのだけれど、ブログで確かめてみる*1と昨年もほぼ同時期にライブを開催しており、内容も尼僧の姿をあしらった衣装で登場、天使に姿を変えるなど、けっこうクリスマスを意識したものではなかったかと思い出した。
 今回のライブの主題は「たこ虹とクリスマスデート」。たこ虹の楽曲には実はももクロ同様に多様性の広がりがあって、楽曲を選んで、この日のようにコンセプトを変えるとまったく雰囲気の異なるライブを演出することができる。今回はいつものように「なにわンダーランド」ではなく、「たこ虹クリスマス」としたのは観客がコールを入れて会場を一体化して楽しみということをしにくい現状を鑑みて、バンドを入れてライブ感のあるライブというのではなく、細部まで作りこんだ完成度の高いパフォーマンスを目指したということなんだろうと思う。そして、現時点ではどの程度かかわったのかが明らかではないが、配信ライブから引き続きももクロ佐々木彩夏(あーりん)も演出に参加し*2、総合的な完成度ではスターダストプラネット屈指のエンターテインメントを作り上げて見せた。
 冒頭は「なにわもジングルベル」。インディーズ時代の楽曲だが、まったく聴いたことがない歌で、こんな歌があったのかと驚く。というか、馴染みのない曲だったので昼公演で初めて聴いたときは今回のライブのための新曲なのかと勘違いしたぐらいだ。この「なにわもジングルベル」*3をはじめ「レインボーロード~駆け出した靴~」「レインボーレボリューション」などずいぶんひさしぶりに聴く曲も多く、そうしたレア曲を中心に第一部、第二部で入れ替えた曲もあり、そこが楽しかった。
 とはいえ、冒頭の「なにわもジングルベル」「にじースターダスト-KiWi - MAD MAGICAL mix-」「レインボーロード~駆け出した靴~」という3曲の流れはクリスマスライブのスタートとしては鉄板の感があった。特に再認識したのは「にじースターダスト-KiWi - MAD MAGICAL mix-」がいい曲だなということだ。この曲はたこ虹の曲にしては珍しく歌声にエフェクトがかけまくってあるため、フリーライブなどで披露されることは少ないが、今回は歌唱、音響効果とも最高の出来栄えであった。
 今回のライブではステージが上下ステージになっていて、フロアのステージで盛り上がった後、デート相手と予約したレストランで食事をするという趣向になって、上のステージには個人個人にテーブルと椅子が用意されている。この移動の演出で歌われるのが「なれたらなぁ」。本当に可愛さが溢れた歌なのだが、猫の一人称でご主人様との愛を歌い上げるという相当に変化球楽曲でもある。チャランポランタン提供による曲だが、初め聴いたときにはキュンとして思わず身悶えしそうになった。演技と一緒に披露すると圧倒的な魅力を発揮するが、普通のライブのセットリストには入れにくいことからこれまで何度歌われたんだろうと思うほどのレア曲ではないだろうか。今回のライブではこれはあーりんの肝いりでセットリスト入りしたんじゃないかと思わず推測してしまったが、この曲こそたこ虹にしか歌えない曲といっていい曲ではないだろうか。

たこやきレインボー / なれたらなぁ
 このブロックでは「怒るでしかし!」「レインボーレボリューション」と賑やかな曲が続いた後、持ってきたのが「SuperSpark」。メンバーの彩木咲良作詞の楽曲だが、「空に輝くあの星をいつか掴むんだ。それが私たちならできる」と歌うこの曲はたこ虹の新たなアンセムの地位を確立してきたのではないのかと思う。クリスマスということもあってか中野サンプラザを埋めたこの日の観客はこの歌に合わせて、白色のペンライトで客席に満点の星を輝かせてみせた*4。実は偶然この日持参したペンライトが白色も出せるものだったので、私もそれを点灯してみたのだが、はるか昔にももいろクローバーの最初のホールコンサート(ももクリの始まり)で示し合わせた観客がホワイトクリスマスの意味を込めて、白のペンライトで埋め尽くしたという故事を思い起こさせるもので、「SuperSpark」の歌詞ともあいまって胸を熱くさせたのである。
 この日のもうひとつのハイライトはアンコールブロックで新曲「ホーム最強」がライブ初披露されたことだ。公式サポーター(セレ女)を務めるサッカーチーム「セレッソ大阪」の応援ソングとして企画された楽曲だが、歌詞はセレッソ大阪とサポーター(ファミリー)のことを歌っているわけだが、実はたこ虹と虹家族のことを歌っているという風にも受け取れる仕掛けが施されているのだ。たこ虹の曲には珍しく、力強く歌い上げる楽曲に仕上がっており、「SuperSpark」とは別の意味でこの曲はたこ虹と虹家族の新しいアンセムとして歌い継がれていくのではないかと思わされたのである。こういう歌が欲しかったし、さすがヒャダインというしかない。

ファミリア・デ・セレッソ / ホーム最強(Short Ver.)

M01・なにわもジングルベル
M02・にじースターダスト-KiWi - MAD MAGICAL mix-
M03・レインボーロード~駆け出した靴~
M04・天使のラブソングを
M05・ナナイロダン
M06・なれたらなぁ
M07・もっともっともっと話そうよ-Digital Native Generation-
M08・怒るでしかし!
M09・レインボーレボリューション
M10・SuperSpark
M11・絶唱! なにわで生まれた少女たち(CLUB RAINBOW Mix)
M12・ナンバサンバイジャー -KiWi - MAD MAGICAL mix-
M13・めっちゃFUNK
M14・恋のダンジョンUME

EN01・ホーム最強
EN02・たのしかしまし大阪 ~おいでやす~
EN03・クリぼっちONE DAY!!

M01・なにわもジングルベル
M02・にじースターダスト-KiWi - MAD MAGICAL mix-
M03・レインボーロード~駆け出した靴~
M04・卒業ラブテイスティ
M05・ナナイロダン
M06・なれたらなぁ
M07・もっともっともっと話そうよ-Digital Native Generation-
M08・怒るでしかし!
M09・レインボーレボリューション
M10・SuperSpark
M11・RAINBOW〜私は私やねんから〜
M12・元気売りの少女~浪花名歌五十選~ -KiWi - MAD MAGICAL mix-
M13・めっちゃDISCO
M14・恋のダンジョンUME

EN01・ホーム最強
EN02・たこ虹物語~オーバー・ザ・関ヶ原
EN03・クリぼっちONE DAY!!

【日程】
2020年12月20日(日)
開場13:00/開演14:00
開場17:30/開演18:30

【会場】
東京・中野サンプラザホール

【チケット】
1階指定席 8,800円(税込)
2階着席指定席 8,800円(税込)

たこやきレインボーhttps://www.tacoyaki-rainbow.jp/pdf/201220_nakano.pdf

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:公式な公表はないようだが、理事長が「プロデュースしたあーりん」などとツイートしているので、間違いないのだろうと思う。

*3:www.youtube.com

*4:「SuperSpark」に白のペンラというのは調べてみたら最近の定番となっていたようだ。