下北沢通信

中西理の下北沢通信

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劇団TEAM-ODAC第37回本公演 【15周年記念公演】「浦安鉄筋家族~子ども大戦争~」@こくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロ

劇団TEAM-ODAC第37回本公演 【15周年記念公演】「浦安鉄筋家族~子ども大戦争~」@こくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロ

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 アメフラっシの愛来が出演したので見に行った舞台だが、内容について聞かれると困ってしまう。「お芝居面白かったよ」「愛来かわいかったよ」などと感想をネットに書き込んでいるファンが多いなかで、そういう人たちを敵に回しかねないので本当はスルーした方がいいのかもしれないのだが、将来女優もやることを想定して、キャリアを積ませたいのであればもうそろそろこういう舞台に立たせるのはやめた方がいいのではないか。AKB48や他の現役アイドルもキャストに名を連ねているし、以前にも出演した舞台の作演出(同じ作家の別の芝居では鈴木萌花も出演していた)であるという気安さもあるかもしれないが、演劇を長年見てきた人間の目からすれば残念ながら演劇作品としてどういう言えるほどの作品とは思えなかったし、やはり乃木坂48のメンバー(卒業後も含む)が出演している舞台とは作品のクオリティーが比較にならない。
 もちろん、この「浦安鉄筋家族~子ども大戦争~」は漫画・アニメを原作とした2・5次元演劇といって良いと思うので、キャラクターの寄せ方など原作のファンが見れば評価に値する部分もあるのかもしれないが、私は参考のために漫画原作の冒頭近くを少し読んでみた程度なのでその部分の評価はできず、そういう観点から作品を評することには不適な人間だったかもしれない。
 愛来自身は女性キャストでいうと今回の作品のヒロインの次にいい役をもらっていた。演技を頑張っていることもはっきり分かったし、本人の充実感はあったと思うけれど、ただ舞台に立ってその経験値を積むという段階は脱しつつある*1。事務所としてハロプロやAKB48グループの運営がそういうものに精通していないのは仕方がない部分はあるけれど、女優事務所であるスターダストプロモーションには本来はそういう情報もあるはず。今後は演劇作品としても高く評価されるような脚本、演出家の舞台に狙いを定めるべき時期に来ているのではないかと思う。「愛来かわいかった」という感想は間違いではないのだけれど。

日程:2021年7月10日(土)~18日(日)※全10ステージ
会場:東京都 こくみん共済 coop ホール(全労済ホール)/スペース・ゼロ

原作:浜岡賢次浦安鉄筋家族」(秋田書店週刊少年チャンピオン」連載)
脚本・演出:笠原哲平(TEAM-ODAC)

出演:いとう大樹(TEAM-ODAC)、清水麻璃亜AKB48)、中西智代梨AKB48)、橋本全一、塩崎太智(M!LK)、愛来(アメフラっシ)、井尻晏菜安田愛里ラストアイドル)、江崎葵(虹色の飛行少女)聞間彩、星希成奏、後藤郁、馬越琢己、小林竜之、優(CUBERS)、小西啓太(TEAM-ODAC)、松田岳、東ななえ(TEAM-ODAC)、千代反田美香(TEAM-ODAC)、飯塚理恵(TEAM-ODAC)、直樹フェスティバル(TEAM-ODAC)、中太花梨(TEAM-ODAC)、佐々木雄治(TEAM-ODAC)、竹中美月(TEAM-ODAC)、高松雪(TEAM-ODAC)、折見麻緒(TEAM-ODAC)、三浦祐香(TEAM-ODAC)、金城和己(TEAM-ODAC)、伊崎央登宮下雄也、鏡憲二(TEAM-ODAC)、高品雄基(TEAM-ODAC)、草野博紀
※松田岳と小西啓太、優と金城和己、安田愛里と折見麻緒はWキャスト。

※塩崎太智、江崎葵、伊崎央登の崎はたつさきが正式表記。

*1:私たちには舞台のオファーがないというようなことをゆずはなが言っていたから、運営が探して決めたというよりは演劇製作側から出演打診があり出演が決まったものではないかと思う。