下北沢通信

中西理の下北沢通信

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楽しそうなキャ・ノンのパフォーマンスに万感の思い PARADISES「NEVER ENDING PARADISE TOUR」@東京 duo MUSIC EXCHANGE

PARADISES「NEVER ENDING PARADISE TOUR」@東京 duo MUSIC EXCHANGE

PARADISESのライブ映像は何度か見たことはあったのだけれど、実際のライブを生で見たのは初めてとなった。ライブを見に行った主たる目的はキャ・ノン(元雨宮かのん)がこのグループでどんなパフォーマンスをしているんだろうかということだったのだが、本当に楽しそうで自分に合った場所を得ることができてよかったなと思った。こんなことを考えたのは前日に浪江女子発組合ではちみつロケット時代の同僚、播磨かなが本当に楽しそうにアイドルしているのを見て、選択について外からとやかく言う人いたとしても、本人が楽しむことができて、それを観客が共有することができるというのが一番だと思ったからだ。
PARADISESというグループ自体はキャ・ノンだけでなく他のメンバーもそれぞれ魅力的で前途有望だとは思うけれども、まだまだ発展途上であることも確かだろう。以前はかぶせをしていたが、この日のパフォーマンスは完全生歌だったとは思う。ただボーカルにはけっこう強くエフェクトがかけられていて、せっかくのそれぞれの声の個性が少し分かりにくいのはもったいないなと思う。それゆえはっきりとは分からない部分もあるのだが、キャ・ノンは前身のグループで聴いた時よりは歌が格段に安定していて、進歩しているのじゃないかと思った。特に魂の叫びのような感情を載せて歌う歌唱には聴いている方の感情を掻き立てるようなエモーショナルな力があり、このグループならではの魅力を演出していた。
それでもボーカリストとしてはPARADISESの核は月ノウサギだとは思うのだけれど、キャ・ノンも時折拮抗するような実力を見せつつあると感じた。彼女は以前にいた大人数グループ(3Bjunior)で圧倒的なセンターを務める華があったけれど、正直言って歌の魅力はそこまででもないと感じていた。そうしたイメージは払しょくできたといえそうだ。
とはいえ、私が彼女のことを今でも気にかけているのは大森靖子に一目置かせた恐るべき作詞の才能を持っているからだ。まだ作詞した楽曲はないようだけれど、きょうのパフォーマンスを見ていてひょっとしたらこれは自分の作詞なんじゃないかと勘違いするような没入を感じるパフォーマンスが何カ所かあった。これは要するに本人の感性とPARADISESの方向性がある程度シンクロしているということで以前にいたグループでのパフォーマンスではそういうことを感じることはなかった。
彼女の本領はむしろギター演奏や作詞作曲を手掛けていたガチンコスターダストで発揮されていたが、その時に後輩として彼女を追っていた「あいらもえか」を擁するのがスタダの新興注目グループ、アメフラっシである。スタダはグループごとに処遇が違うけれど退社した人をいなかったことにしがちなので、難しいかもしれないが、今年この東京 duo MUSIC EXCHANGEで何度かワンマンライブをしたことや、企業グループの中での位置づけはどちらも新鋭であるという共通点もあり、ぜひ一度対バンライブをやってくれないかなと思った*1

www.youtube.com

1部Open/Start 14:30/15:00
2部Open/Start 17:00/17:30
[問] duo MUSIC EXCHANGE 03-5459-8716

*1:ちなみにアメフラっシはガールクラッシュな曲を志向しているが、アイドルフェスでは完全に浮いていることが多い。