下北沢通信

中西理の下北沢通信

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「続ける」を存在理由としたバンド描く舞台に exたこ虹メンバー参加の意味 劇団劇団TEAM-ODAC第34回本公演「僕らの深夜高速」@草月ホール

劇団TEAM-ODAC第34回本公演「僕らの深夜高速」@草月ホール

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2021年12月15日(水)~20日(月)
東京都 草月ホール

脚本・演出:笠原哲平
出演:鏡憲二 / 高品雄基、高田翔、小西啓太 / 野澤祐樹(ジャニーズJr.)、馬越琢己、小林竜之 / 東ななえ、諸塚香奈実、秋田知里、飯塚理恵、軽辺るか春名真依根岸可蓮杉本愛莉鈴 / 平田裕一郎 / 吉田知央、松本祐一、澤田征士郎、弦間哲心、谷田部亨政 / 坂場明日香、渡辺ゆか、三浦祐香、清水万莉 / 森公平ひょっこりはん / いとう大樹

劇団TEAM-ODAC「僕らの深夜高速」を観劇。この劇団を観るのはアメフラっシの愛来が出演した「浦安鉄筋家族~子ども大戦争~」*1以来。今回も前回同様スターダストプロモーション所属の岸可蓮、春名真依(いずれもexたこやきレインボー)が出演することがあっての観劇となった。
アイドルが商業演劇クラス以下の規模の演劇に出演する場合、受け入れ態勢がある劇団でないと先鋭的なファンの暴走などのリスクも抱えていて、どこでもいいというわけではない。その意味で過去にスタダ以外のアイドルの受け入れ経験もある劇団TEAM-ODACは事務所側から見ると信頼感があるといえるとは思うが、愛来の舞台への感想で「将来女優もやることを想定して、キャリアを積ませたいのであればもうそろそろこういう舞台に立たせるのはやめた方がいいのではないか」と書いたのだが、今回の舞台を見ての感想も基本的には大差のないものだ。ただ、それはあくまで現代演劇を対象とする批評家としての私の評価軸に従っての判断であり、この舞台にも評価すべき点はいくつもある。
 そのひとつは作品がフラワーカンパニーズという実在するバンドの「深夜高速」*2という楽曲とバンドに実際に起こったことを下敷きにしていることだ。
 もちろん、物語のディティールを見れば時代設定を含めて、実際に起こったこととは思えないことも数多く含まれており、作劇ゆえの虚構も含まれているとは思うが、フラワーカンパニーズの生誕秘話を原案に劇団TEAM-ODACによる舞台『僕らの深夜高速』が2014年11月に初演した作品*3で、その後も繰り返し再演が繰り返されていることを考えるとこの劇団の代表作品といっていいのかもしれない。この劇団のことについてはこれまでほとんど知らなかったのは現代演劇のメインフィールドとはほとんど無関係に活動してきたからではないかと思う。「浦安鉄筋家族~子ども大戦争~」はアニメ・漫画が原作で2・5次元演劇と言ってもいい内容だったが、この作品はアニメとも漫画ともに無関係ゆえにそういうことはできないが、バンドメンバーの役柄の作り方には元のフラワーカンパニーのメンバーに完全に寄せていっていることが分かり、そこには共通項が見られるように感じた。
フラワーカンパニーズについて言えば「メンバーチェンジ&活動休止一切なしで今年結成31年目のバンド、フラワーカンパニーズ」と下記の「THE FIRST TAKE」のクレジットに書かれており、どこであったかは失念したが、それに「1曲のヒット曲もないのに」というのも付け加えられていた。この舞台でも売れたり、有名になったりするのを目的とするバンドが多い中で、「仲間と一緒に続けていく」ということを目指すんだというセリフが語られ、この舞台の主題ともなっている。この舞台には先行き不安から一度はやめることを決意するが、少数のファンの励ましによりもう一度続けようと決意する地下アイドル「白鳥うらんちゃん」のエピソードもこの主題を補完するように出てくるのだが、それよりもフラワーズカンパニーズがメジャー契約とインディーズを繰り返しながらオリジナルメンバーの4人で30年以上続いてきた歴史を考えるとたこやきレインボーを5人全員卒業しても、解散はせずに5人で続けることを選んだことととどうしても重なってしまうのではないか。
 ちなみに演技についていえばバンドメンバー4人が出入りするスタジオの管理人の女性の妹役を演じた根岸可蓮はいつも彼女とは少し違う雰囲気の役柄を演じていて、髪型も変えているからしばらく彼女とは気が付かないほどなりきっていて感心させられた。春名真依は内向的で感情の表出を抑えたような人物を演じたため、そこまで目立つことはなかったが、そうしたなかで一瞬豹変して感情をあらわにする場面があり、女優の資質の片りんを見せてくれた*4

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:
www.youtube.com

*3:
www.youtube.com

*4:地下アイドル「うらんちゃん」が最初に登場した時、一瞬まいまいかと錯誤したが、いくら何でも卒業してあまり時間がたっていないAVEXに所属していたメジャーアイドルにやめるかどうかを悩む地下アイドル役はないだろうということにすぐに気が付いた。