下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンスなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。

松森モヘーが作演出 オンライン配信/リーディング公演『さよならの幕開け』@配信 愛来(アメフラっシ)が出演

松森モヘーが作演出 オンライン配信/リーディング公演『さよならの幕開け』@配信

 中野坂上デーモンズという劇団を主宰する松森モヘーが作演出。ソニー・ミュージックアーティスツによるプロデュース公演のようで、配信とはいえ、「そこの舞台公演に愛来が参加するってことは」などと所属のアメフラっシがメジャーデビューを目指して、ビミョーな時期にいるだけについついいらぬ勘繰りをしてしまうが、演劇公演だしそれはあまり関係がないのだろう。
 この舞台配信を見たきっかけはスターダストプラネット所属のアイドルである愛来(アメフラっシ)が出演しているからではあるが、舞台の概要が分かってからは松森モヘーが王子小劇場で「最優秀作品賞・最優秀演出賞」を受賞し、日本演出者協会主催の若手演出家コンクールでも「優秀賞」を受賞しているかなり有望な若手作家だと知り、どんな舞台だろうかと気になっていた。
 全員若い女優によるキャスティングであること、作品冒頭から登場人物である女子高生のひとりが自殺したことが明らかにされ、しかも彼女が幽霊として舞台に登場することなどから「墓場、女子高生」*1のことを思い出した。もちろん、剽窃とかそういう類のものではいっさいないのだが、「墓場、女子高生」は演ぶゼミの公演が初演だったから、やはり演ぶゼミで教えてもいる松森モヘーには若い女優への書き下ろし群像劇としては多少意識したところはあったのかもしれない。
 松森モヘーのことは若手と書いたが、1988年生まれだから、世代的には最近アゴラ劇場周辺で活躍が目立つ若手より、ひとつ前の世代。佐々木敦らが「テン年代」と呼んでいた世代に年齢的には近く、この作品でも作中に含まれる「ループ構造」の存在などこの世代によくある特徴を共有している。人物造形も漫画・アニメ的なものかもしれない。
 この公演はリーディング公演ということもあり、ループ構造のありようをビジュアル的に提示したり、キャラクターを作り込んだりすることはされていなかったが、それでも女性だけの演劇部、教師と生徒の恋愛沙汰などひと時代前の少女漫画的な世界観が盛り込まれていて、若い女優との共同作業により、それを作り上げていったのが分かる舞台の触感に魅力を感じさせ、そういう中にアイドルの愛来はうまくとけ込んでいたと思う。経験という意味では無観客で本番が1回だけという今回の配信には物足りなさが残ったのは間違いないが、同世代の女優との共演は刺激になったのではないか。
 

松森モヘー大阪出身。1988年生まれ。
佐藤佐吉賞」にて「最優秀作品賞・最優秀演出賞」を受賞。その後、日本演出者協会主催の若手演出家コンクールでも「優秀賞」を受賞した期待の若手演出家。

■Story
東京の西、豊かな森に囲まれた女子高に事件がおきる。3年生最後の地区大会の中止が決まったその春、才色兼備で、何をとっても完璧な演劇部の部員、藤(辻千恵)が校庭の桜の木で首をつって自殺をした。演劇部部長の清水(トミタ栞)は、藤に深い恋心を抱き続けていた。失意の日々を送りながら今後の演劇部を模索する中、立て続けに、部顧問も学校を退職していく。清水は完全に舵を失うことになってしまう。なぜこうなってしまったのか?様々な憶測が憶測を呼ぶ。演劇部3年生の三並(飯塚理恵)、新井(星波)、円城寺(石川瑠華)、安藤(愛来)に加え、2年生の岡井(夏川アサ)、土居(白神美弥妃)らは秘めた感情を抑え込みながら壮絶な舌戦が繰り広げられる。 そして、3年生の部員たちは、最後に苦渋の決断をする。それは高校生活最後に、諦めきれない私たちの、私たちだけの演劇公演をおこなうという決意であった。また学園では「タピオカの亡霊」という妙なうわさが立ち込めていた。遅れを取り戻すため稽古の日々を送るが、ある日、稽古場に藤がひっそりと立っている…。松森モヘーが描く、生と死のはざまで葛藤するあっち側とこっち側の物語、性と生のファンタジーストーリー。

(50音順)【脚本・演出】
松森モヘー(中野坂上デーモンズ)

【出演】
(W主演)トミタ栞、辻千恵 

愛来(アメフラっシ)
秋田知里(仮面ライダーGIRLS)
飯塚理恵(TEAM-ODAC / 五反田タイガー)
石川瑠華
星波
白神美弥妃
夏川アサ   



【公演スケジュール】(オンライン配信のみ)
2020年9月9日(水)19時〜

【チケット発売日】
8月22日(土)19時〜
https://www.ticketpay.jp/booking/?event_id=28993