下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ダンスパフォーマンスとしてのアメフラライブ AMEFURASSHI「梅雨祭2024 -Dance in the rain-」@文京シビックホール 大ホール

AMEFURASSHI「梅雨祭2024 -Dance in the rain-」@文京シビックホール 大ホール





AMEFURASSHIが得意としているダンスのジャンルは大きく分類すれば、ストリート系ダンスの系譜に入るダンスであり、これにジャズダンスなとそれ以外のジャンルの振り付けが組み合わされるミクスチャーとでもいってよいものとなっている。私はこうしたタイプのダンスの振り付けに精通しているわけではないが、一般的にコンテンポラリーダンスと呼ばれているダンスジャンルの作品を三十年以上観劇し、時には批評していた経験があり、そういう経歴の人間として今回のAMEFURASSHIのライブに対して感じたことを書き記していきたいと思う。
 「梅雨祭2024」は「-Dance in the rain-」の副題の通りに男性女性各4人のゲストとして迎え、多くの作品で一緒にダンスパフォーマンス作品として楽曲を披露するなどダンス要素の強いライブとなった。ライブにダンサーを招くというのはももクロをはじめ多くのグループであることではあるが、多くの場合はダンサーをバックダンサーとして起用する今回のようにメンバー、ダンサーが混然一体となってダンス表現を展開することはきわめて稀有なことではないか。これはダンサーに加わり、群舞に入った時にダンサーと比べて遜色のないダンススキルをAMEFURASSHIのメンバーが持っていることで初めて可能になったライブ構成だと思う。
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 ライブは新曲の「イニミニマニモ」*1からスタート。これはいくつか考えていた出だしの予想の範疇に入るものではあったが、出演者全員が黒づくめの衣装でユニゾンによる激しい群舞を展開する冒頭部分はいきなりこの日のハイライトのひとつといっていいほど圧倒的な迫力。特に最初の方は右サイド通路後方の私の席からではステージ背後から照らされた照明のせいもあってシルエットしか分からないこともあり、誰がメンバーで誰がダンサーなのか。あるいはパフォーマーの性別も分からないなかで、群舞が激しく踊られるのだが、このレベルでダンスにことのできる女性パフォーマンスグループはそんなに多くはないと思う。歌部分に入るとすぐ市川優月のラップが始まるが、これが本当にカッコいい。また、一段階腕を上げたのはないか。アメフラは夏のフェスシーズンを前にまた大きな武器を手に入れた。
 「イニニミマニモ」から「Fly Out」「DROP DROP」と続く最初の3曲はこの日ゲスト参加したプロのダンサーをまじえての群舞として振り付けられた。人数が増えたことにより、迫力が増したことはもちろんあるが、AMEFURASSHIというグループのストロングポイントであるダンスが韓国のグループなどと比べても何ら遜色ないものであることを改めて示してみせた。そこにとどまらず、男性ダンサーと一緒に踊ることで、日本勢も含め最近はレベルが急上昇していると思われる日韓男性ダンス&ボーカルグループの群舞を連想させるような切れ味や勁さを感じさせる。特に「DROP DROP」はMVですでに披露しているダンサーとの群舞を振り付け異なるが舞台上で生で再構築しているようなところがあり、昔MVでダンサーとの群舞を観て以来「いつかこういうのが見たかった」という満足感を持たせてもらった。

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ここでいったん短いMCをはさんで「次は皆に踊ってもらうパート」と伝えた後ひさしぶりに披露したのが「MOI」。さらに最近おなじみの早口言葉の歌「Tongue Twister」、さらに今度はかつてのライブの定番曲だったが今聞くと少し懐かしい気がする「Disco-Train」「メタモルフォーズ」と続くと会場の盛り上がりは最高潮に達した。
 こういう風にクラブ系楽曲でガンガン押していくのもAMEFURASSHIの持ち味ではあるが、ここで一度観客を座らせ、再びトークに入り、二人づつが着替えに入り、落ち着いた白のスカート衣装に着替えると、ここから会場の空気感は一変していく。
 AMEFURASSHIをほかのグループと比較した場合例えば同じダンス表現でも様々な技術を使いこなすことができるのが特徴といえよう。最初のパートではストリート系のダンステクニックを見せつけたが、ここからのバートでは一転してバラード系の楽曲に合わせてジャズダンスやバレエ的な動きを駆使して、手足のしなやかな表現力を駆使して、楽曲の持つパッションをきめ細かく表現していく。こうした表現方法はかつてかつてイベント企画「シン魂の公開稽古」でダンスを指導しているANNAが拘ってきたものだが、ひさびさに原点回帰して「フロムレター」「Over the rainbow」はかつては代表曲であったが、最近は歌う場面が少なくなっていた楽曲を新しい振り付けによりリメイクした感もあった。こういうフェスやリリイベ的なイベントでは最近は見ることができないような楽曲を見ることができるのも企画系のワンマンライブである「梅雨祭」ならではの魅力であった。「梅雨祭」に合わせてこちらは本人の生誕イベントでないと聴けないような本当にレア曲である市川優月のソロ曲「梅雨前線、停滞中」も披露された。
本編最後のパートは再びダンサーを加えての怒涛の群舞「Blow your Mind」「Secret「Drama」
「SPIN」「ALIVE」と続き、いずれもアメフラならではのパフォーマンスだが、最大の見せ場は
この部分の冒頭で「BAD GIRL」リミックスに合わせてメンバー4人がそれぞれ男性ダンサーを組んでペアダンスを踊る部分。普段は見せない大人の色気も垣間見せ、表現者としての成熟ぶりも見せた。

イニミニマニモ
Fly Out
DROP DROP
MOI
Tongue Twister
Disco-Train
メタモルフォーズ
フロムレター
梅雨前線、停滞中
Over the rainbow
Blow your Mind
Secret
Drama
SPIN
ALIVE

Magic of Love
MICHI
轟音

日程:2024年6月7日(金)
時間:開場17:30 / 開演18:30
会場: 文京シビックホール 大ホール(〒112-0003 東京都文京区春日1丁目16−21文京シビックホール 大ホール)
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