下北沢通信

中西理の下北沢通信

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Parallel World 2025@Spotify O−EAST

Parallel World 2025@Spotify O−EAST


Parallel Worldは社内の部署を超えたスターダストプロモーション(スタダ)のダンス&ボーカルグループによるフェス的な対バンイベントである。今回が2回目*1だが、会場の規模も大きくなりスタダ内での重要性も増しているようだ。
今回は男性グループである龍宮城や男混成グループであるONE LOVE ONE HEARTも加わり、スタダ内での他の対バンイベントと一線を画するものとの色彩が強くなった。テレビ番組「VS.超特急」にゲストとしてももクロが出演するなど、ファンの反感を警戒してか、いままではタブー感があった女性グループと男性グループの垣根をとっぱらって、ライバルの他の事務所と違って男女それぞれに人気グループがあるというスタダの強みを積極的に生かしていこうという最近の方向転換がこうしたイベントにも反映されているのではないかとも考えられるが、AMEFURASSHIのファンとしてこのイベントに参加した印象では観客のリアクションなどから判断する限り、アメフラにとっては一番ホーム感が強い現場となっていたのではないか*2
アメフラのパフォーマンスはこれまでに見た対バンやフェスの中でも出色の出来栄えではなかったかと思った。歌、ダンスの技術レベルでは玉石混交の感のあるアイドルフェスとは異なり、この日参加した4組はいずれもスキルが高いグループがそろった。それゆえ、単純にアメフラの方が(歌やダンスが)うまいなどという表現をすると誤解を招きがち。それゆえ、それは単純なうまさなどではないはずだが、こういううまいグループがそろったなかでこそ逆説的に浮かび上がってくる質感の違い。これは何だろうかと思いながらパフォーマンスを見ていた。
そうして感じたのはこれこそがアンサンブルの妙ではないか。特に今回は出だしが「Desire」であったのも大きいと思う。ラテン系を取り入れたような楽曲に合わせて展開されるダンスを取り入れたパフォーマンスはアイドルはもちろんKPOP系や男性グループを含めて考えても独自性の高いもので、楽曲としてもワンマン以外では披露することが少ないのだが、こうしたフェスでももっと披露すればいいのではないか。
AMEFURASSHIの中ではいわゆるアイドル的な楽曲といってもいい「Magic of love」とハードエッジな「イニミニマニモ」「SPIN」と全体のバランスもとれていたのではないか。
昨年は夏の大型アイドルフェスへの参加が愛来の足の故障で出来なくなったこともあり、アメフラにとっての三大フェスといっていい「Lucky Fes」「TIF」「@JAM EXPO」の今年にかける意欲は例年にも増して高まっていると思われ、今の時期の対バンイベントはそれに向かって毎回すこしづつセトリを変えながら客席の反応をうかがっている段階かもしれない。
とはいえ、その時々に対バン相手やそのイベントの空気感を見てのパフォーマンスができるのもアメフラの強みで、この日は夏フェスのような観客盛り上げの煽りはあまりやらないで、歌・ダンスのスキルの高さでそういうものに目の肥えた観客を圧倒するというようなストロングスタイルの戦い方ではなかったかと思う。こういう変幻自在のファイトスタイルはもともとももクロが得意とするところだが、少なくとも1000~2000人のオールスタンディングのライブハウスというレギュレーションならば今のももクロと対バンしても肉薄できるし、最強の実力を備えつつあるのではないかと思った*3

AMEFURASSHI
M1. Desire
M2. Fly Out
M3. イニミニマニモ
M4. Ready Now
M5. Magic of love
M6. SPIN

AMEFURASSHI
MISS MERCY
ONE LOVE ONE HEART
龍宮城

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:ももいろ歌合戦を除けば、スタプラフェスやスターダストパーティー以上にホームかもしれない。

*3:そういう意味ではこのレギュレーションでの戦いとなる夏のZEPP DiverCityは本当に楽しみだ