下北沢通信

中西理の下北沢通信

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範宙遊泳『ディグ・ディグ・フレイミング!〜私はロボットではありません〜』@配信

範宙遊泳『ディグ・ディグ・フレイミング!〜私はロボットではありません〜』@配信


範宙遊泳の山本卓卓は本年度の岸田國士戯曲賞を受賞したから、本作品は本公演としてはたまたま岸田受賞後第一作になったのだが、本当は留学先のニューヨークで2020年にすでに前半部分は書き始めていたのが、コロナ禍で上演がのびのびとなり、ようやく今回の上演にこぎつけたということだから、受賞第一作というのは当てはまらないのかもしれない。
登場人物の中心をなすのはYoutuberたち。表題の『ディグ・ディグ・フレイミング!〜私はロボットではありません〜』からAIなどがからんだSF的な趣向の作品かと思って見始めるのだが、山本卓卓作品としては予想したよりもだいぶ地上戦。最近、よくあるYoutuberの炎上やそれにともなうネット上での誹謗中傷などを割と正面から取り扱っていて少し驚いた。
 公演日時を知るのが遅くて残念ながら公演を生観劇することはできなかったが、配信があることを知り、ようやく配信の最終日となる8月14日にぎりぎり舞台を見ることができた。
 Yotuberたちといってもそれほどリアルに描かれるというわけでもなく、若干パロディー的にデフォルメされているところはある。とはいえ、彼らを揶揄的に扱うというわけではなく、メンバーらが巻き込まれていく不思議な出来事を媒介として、ネットに浮遊する悪意などの存在を割合シリアスなタッチで堀り起こしていくのが山本卓卓らしい。

会場
シアターイース
作・演出
山本卓卓

出演
埜本幸良 福原冠
亀上空花 小濱昭博(劇団 短距離男道ミサイル) 李そじん(青年団/東京デスロック) 百瀬朔 村岡希美(ナイロン100℃/阿佐ヶ谷スパイダース)