下北沢通信

中西理の下北沢通信

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オフィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』@吉祥寺シアター

フィスコットーネプロデュース『兵卒タナカ』@吉祥寺シアター

戦時下の日本を鋭い眼差しで滑稽に、哀れに描く
「陛下があやまるべきであります」 (脚本より)
貧しい農家の出身である兵卒タナカは、休暇をとり、戦友ワダとともに実家を訪れる。軍人となった息子が帰ってくることを一家は喜び、贅の限りを尽くして迎え入れるが、村は不作が続き、大飢饉のまっただ中にあった。 自身の軍人という身分が、もっとも身近な存在の犠牲により成り立っている現実を突き付けられたとき、タナカが信じて疑わなかった世界が音を立てて崩れていく―――。

ドイツ人であるゲオルク・カイザーが、戦時下の日本を鋭い眼差しで滑稽に、哀れに描く。普遍性のあるこの物語は、「新しい戦前」を生きる私たちの心を大きく揺さぶります。
今も世界中で起きている紛争の、すべての犠牲者へのレクイエムになることを願い、オフィスコットーネが今、渾身の想いを込めて上演する、ある「タナカ」の物語。

『兵卒タナカ』メインビジュアル

神格化された天皇が率いる軍隊と、そこに身を置いた人間の誇りが崩れるさまを、ドイツ人である作家ゲオルグ・カイザーの視点で冷静に見つめ、一人の日本兵を通じて旧日本軍軍国主義の本質を正確につかんでいる。
国家権力における隷属性の悲劇。自身の身分がもっとも身近な肉親の犠牲により成り立っている現実を突き付けられたとき、主人公が信じて疑わなかった世界が一変し、彼の放つ衝撃的な台詞が、同じ日本人である我々の心を大きく揺さぶる。
昨年急逝した弊社代表 綿貫 凜が書き遺した企画構想を元に、新進気鋭の演出家・五戸真理枝を迎え、彩り鮮やかなキャスト陣、盤石なスタッフ陣とともに本作へ挑む。オフィスコットーネがお届けする渾身の 1 作。

演出 五戸真理枝(文学座) コメント
お会いしてからお別れするまで、とても短い時間でしたが、綿貫さんの胸に燃え盛っていた演劇への情熱を、今も強烈に思い出します。私たちは綿貫さんのメモの元に集結しました。戦争を止められない世界の中で、深い祈りを込めて、未来への希望を失わずに今を生きていくための『兵卒タナカ』を立ち上げていきたいと思います。


キャスト・スタッフ
[作] ゲオルク・カイザー [翻訳] 岩淵達治 [演出] 五戸真理枝(文学座
[企画] 綿貫 凜

[出演] 平埜生成 瀬戸さおり 朝倉伸二 かんのひとみ(劇団道学先生)
渡邊りょう 土屋佑壱 名取幸政(青年座
村上 佳(文学座) 比嘉崇貴(文学座) 須賀田敬右(青年座) 澁谷凜音(青年座) 永野百合子(妖精大図鑑) 宮島 健

[美術] 池田ともゆき [照明] 松本大介(松本デザイン室) [音響] 青木タクヘイ(ステージオフィス) [衣裳] 加納豊美(アトリエ・DIG) [振付] 永野百合子(妖精大図鑑) [舞台監督] 尾花 真(青年座) [演出助手] 城田美樹 [ドラマトゥルク] 木内 希
[宣伝美術] 郡司龍彦 [宣伝写真] 杉能信介 [Web 製作] 木村友彦
[制作] 落合直子 小野塚 央 大友 泉 [制作デスク] 津吹由美子 [制作協力] J-Stage Navi

[主催](有)オフィスコットーネ
[提携] 公益財団法人武蔵野文化生涯学習事業団

[助成] 文化庁文化芸術振興費補助金舞台芸術創造活動活性化事業)/独立行政法人日本芸術文化振興会

[協力] アルファエージェンシー/オフィス PSC/エンパシィ/劇団道学先生/劇団離風霊船/青年座映画放送/文学座/妖精大図鑑/ワタナベエンターテインメント