下北沢通信

中西理の下北沢通信

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青春ファンタジー的手法ながら苦い結末 太宰の本質に迫るアプローチ 渡辺源四郎商店Presentsうさぎ庵Vol.22『散華』 SANGE@下北沢ザ・スズナリ

渡辺源四郎商店Presentsうさぎ庵Vol.22『散華』 SANGE@下北沢ザ・スズナリ


青森に本拠地を置く渡辺源四郎商店が青森出身の文学者である太宰治作品を題材にした作品を連続上演するという企画が、「渡辺源四郎商店第40回公演なべげん太宰まつり」である。第一弾畑澤聖悟作演出の『駆け込み訴え』」に続き、こちらは工藤千夏によるうさぎ庵新作『散華』 SANGEを上演した。
 太宰治が心中時に臨死体験に陥り、その中で太宰を信奉する現代の作家と入れ替わるという筋立て。これだけを言うと、新海誠や演劇なら演劇集団キャラメルボックスを連想するような青春ファンタジーを連想するが、観劇後、不思議に感じたのはこれがまったくといっていいほどそういうものになっていないことなのだ。 
もちろん、この場合、入れ替わるの2人が少年でも少女でもなく、中年男性であり、同じくそれを演じるのもそれに見合った年齢の男優だということはあるだろう。
ただ、どうだろう。入れ替わった相手の文學者が例えば芥川龍之介中原中也だったとしたら。ぎりきり、リリカルな青春ファンタジーとしての作品を想像できはしまいか。そうだとすればこそある意味こうした苦い観劇後の印象はあくまで太宰であったれぱこそなのであり、それこそが太宰の本質に迫るアプローチであったのかもしれない。

『散華』 SANGE
原作:太宰治『散華』『道化の華』『姥捨』、他より
作・演出:工藤千夏

2025年4月29日(火・祝)~5月2日(金) ザ・スズナリ(東京) 2025年月10日(土)~11日(日) アトリエPentA(長崎)

出演:猪股俊明、大井靖彦、桂憲一(花組芝居)、木村慧、山藤貴子(PM/飛ぶ教室)、 山村崇子(青年団)※五十音順