ロロ「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校」(2回目)@アトリエ春風舎
緊急事態宣言発令に伴うイベント制限要請により、4月28日(水)・29日(木・祝)の公演が中止に。猶予期間であった27日がこの演目で2回目の観劇ながら最終日ともなった。最近のロロの作品とは作風が異なるもののロロおよび三浦直之の作品としては原点に当たるような作品でもあり、テレビや映画の脚本も手掛けるようになったり、声優や元アイドルらと組んだプロデュース公演でもファンを増やしているであろうことを考えると少しでも大勢の人に見てもらいたい舞台でもあったため、コロナ禍の中でやむを得ないこととはいえ、今回の公演が途中で打ち切りになってしまったことは残念でならない。ただ、今回は配信も予定されているようなので関心を持った人はぜひそちらでも見てほしい。
『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』(2010)
出演:亀島一徳(六) 篠崎大悟(八) 望月綾乃(トビ) 北川麗(露島空) 小橋れな(先生) 崎浜純(蜻蛉) 多賀麻美(クリーム) 三浦直之(みうらこぞう)
脚本・演出/三浦直之 照明/板谷悠希子 音響/池田野歩 衣裳/藤谷香子(快快) 舞台監督/鳥養友美 宣伝美術/玉利樹貴 制作助手/幡野萌 制作/坂本ももこの映像の最初の方に出てくるのが宇宙人らしい霧島空と主人公の六なわけですが、ギターをさして「その、君が背負っているそれは何? 世界?」などというセリフなどは意味ははっきりとはわからないのだけれど、どこかぐっとくるところがあります。もうひとつは一見子供たちの会話劇風の展開からはじまったりはしますが、この舞台全体が三浦が考えるアニメ的なリアリズムの演劇への導入であること。これはつまり、青年団などと比べてみればはっきり分かりますが、大人が小学生を演じるということからして目指しているのが「演劇的リアリズム」じゃないことは明らかです。興味深いのはロロの場合は(小劇場演劇の場合は大人が小学生を演じる際の約束事としてこれまで蓄積されてきたノウハウのようなものもあるのだけれど)そういうものをなんらかの技術によって提示しようともしていない。そこに特徴があるかもしれません。
脚本・演出:三浦直之
『いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三小学校』はロロ旗揚げ一年目に書いた作品です。僕が10代のころに読んだり観たりしてきた漫画、アニメ、ライトノベルへの愛情を目一杯詰め込んで書いたボーイミーツガールの物語で、これまで何度も再演を重ねてきました。「独白」と「対話」の間にある「告白」について考えるきっかけになった作品でもあります。でも、現在の僕はこの物語をかつてのように肯定することができません。当時の僕と今の僕とでは恋についての考え方が随分ちがっていて、ここで描かれる男性や女性の姿にどうしても違和感を抱いてしまいます。今回の上演で、その違和感にとことん向き合ってみようとおもいます。かつての自分が書いた言葉に今の自分はどんな風に応答できるのか。オーディションを通して新たに出会った俳優たちとじっくりと考えてみます。三浦直之
ロロ
劇作家・演出家の三浦直之が主宰を務める劇団。2009年結成。古今東西のポップカルチャーをサンプリングしながら既存の関係性から外れた異質な存在のボーイ・ミーツ・ガール=出会いを描き続ける作品が老若男女から支持されている。15年に始まった『いつ高』シリーズでは高校演劇活性化のための作品制作を行うなど、演劇の射程を広げるべく活動中。『ハンサムな大悟』で第60回岸田國士戯曲賞ノミネート。代表作に『はなればなれたち』『四角い2つのさみしい窓』などがある。
出演
スタッフ
脚本・演出:三浦直之
音楽:NRQ
美術:伊藤鈴蘭
照明:松田桂一
音響:池田野歩
衣裳:藤谷香子
演出助手:中村未希 神保治暉
舞台監督:黒澤多生
イラスト:一乗ひかる
デザイン:中西洋子
制作助手:黒澤たける
制作:奥山三代都 坂本もも