Perfumeとももクロのパフォーマンスについて 配信ライブを中心に(その1)
配信で最先端走るPerfumeとももクロ
PerfumeとももいろクローバーZ(ももクロ)という2つのガールズユニットが現在いろんな意味で日本のエンターテインメントの最先端を走っていると考えている。Perfumeとももクロは昨年のコロナ禍で予定していた大規模会場(Perfumeは東京ドーム、ももクロは西部ドーム)でのライブを中止に追い込まれたが、いずれも配信ライブを行った。多くの人気アーティストが無観客のライブをそのまま配信ライブとしているなかで、この両者のそれは最新のテクノロジーやアイデアを駆使したもので、いずれも世界でも例がないほどの斬新なものだった。実はももクロとPerfumeは対極的な部分と相通じる部分の両方がある。以前にもダンスという切り口でそうしたことを論考にまとめたこともあった*1が、今回昨年の配信ライブなどを素材にそれを再考してみるといろいろ興味深いことが見えてきた。
配信ならではの世界観突き詰めるPerfume
コロナ後、配信によるライブをいくつも見てきたが、ライブの臨場感を重視したものと配信ならではの作品性、世界観を作り上げたものと両極があるように思われた。Perfumeの場合はもともとそのライブ自体がライゾマティクスリサーチの真鍋大渡との共同作業によるメディアアート的な要素の強いものであることもあり、後者に当たるようなライブになること自体は予想がついたが“P.O.P”Festival (Perfume Online Present Festival)(9月21日配信)ではMVや作りこんだ映画的な映像を精度の高い身体表現とシンクロさせることで、リアルタイムオペレーションしていくパフォーマンスの総合力はVRなどを駆使しているといわれる海外アーティストの配信と比較してさえ、群を抜いたものに見えた。
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Perfumeのパフォーマンスの歌唱は音声が加工されているため、あらかじめ録音されたものに口の動きを重ねたリップシンク(いわゆる口パク)だと勘違いしている人がいるようだが、この日のライブ中のあおりと歌唱がなめらかに移行していることなどを見ても、生の歌唱をボイスチェンジャー的なソフトウエアでリアルタイムに加工しているのだろうことは明白である。身体に対する負荷も相当なものだと思うが、これまでは終了後の息遣いひとつにしてもそういう「生」っぽさをあまり見せないような演出が取られていたような気がする。
配信で生身では皆の前に立てないこともあってか、パフォーマンス後の生の呼吸音とかをいつも以上に見せていたのではないかと思う。そして、そういう工夫でただのMVに見えてしまうのを防ぐ工夫があったのではないかと思った。(以上は9月21日にあった配信ライブの感想の抜粋)
ももクロは配信で試行錯誤
一方、ももクロは配信ライブにおいてさまざまなスタイルを試み、試行錯誤を繰り返した。コロナ後のエンタメのあるべき姿を模索するために独自に感染症の専門家と協力して「MSRS 新型コロナウイルス感染症『無観客ライブ』感染対策ガイドライン 」というルールを策定。これは「無観客」と銘打っている通りに観客を入れない状態でライブを行った場合の様々なリスクを勘案した場合に出演者(パフォーマーだけでなく、演奏家なども含む)やスタッフ陣が守らなければならないルールを決めたものだ。
エンタメ産業界隈ではコロナ禍後すぐにEXILEが所属するLDHが年内のすべてのライブ活動を休止することを明らかにし、特にスタジアム級の大規模ライブについてはどこも開催するめどさえ立っていなかった。ももいろクローバーZはいち早く自粛以降最初のももクロのライブとして「Behind closed doors『2020 次が始まり』」(6月25日)を開催、それを配信した。
さらに夏の西武ドームでのライブが中止となった直後には今度は結婚式場を会場につかっての野外回遊型ライブ配信「ももクロ夏のバカ騒ぎ2020 配信先からこんにちは」を行った。これはいかにも野外の大規模空間でのライブを得意とするももクロらしい配信で、船上からの中継から周到に準備されたMV風の生配信まで内容も多岐にわたって高いエンタメ性に彩られたものであった。
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「ももクロ夏のバカ騒ぎ2020 配信先からこんにちは」の最大の特徴はそれまでの配信ライブでは見ることができなかったようなダイナミズムといってもいいかもしれない。最初の「stay gold」から「背番号」「仮想ディストピア」「GODSPEED」「『Z』の誓い -ZZver.-」「リバイバル」と海を背景として周囲を芝で囲まれた野外での場面が続くのだが、ここではライブ会場の規模の大きさを強調するようにドローンを駆使しての空撮が効果的に挟み込まれて、ももクロの曲の歌い方も野外やスタジアムでの巨大ライブでの歌唱に準じたように声を最大に張り上げるなど、観客こそいないけれどライブのスケール感を感じさせるような演出がベースとなっている。
ただ、通常のライブのようにそうしたひとつのフェーズで全編を押し切っていくのではないのが、ももクロの配信ライブの特徴だ。生観戦とは違って集中力の持続が難しいであろう配信ライブの特徴を鑑みて(着替えや場所の移動のための時間かせぎの側面もある)、随所にテレビバラエティー的な場面や野外ライブと毛色の異なるあらかじめ収録した映像も含まれるライブ映像も挟み込まれている。
「武陵桃源なかよし物語」のライブ場面などがそれで、ここでは生ライブの中継というよりはMVのように歌と演技を一体化したような映像が挟み込まれた。ここが面白いのは控室のように見える部屋での冷蔵庫のセットに仕掛けられた定点カメラの映像と後半の元いた野外ライブでの場所がシームレスにつながっているが、配信映像として面白いのはどの部分が生でどの部分が収録映像に切り替えられたのかが、区別がつかないことだ。生配信で最初に見た時には部屋の部分はあらかじめ収録されていて、スイッチングしてつないだんだと思い込んでいたのだが、曲終わりに「REC」というクレジットの入った部屋の映像が流れるという構成になっているので、この曲の最初の部屋の部分は生でのパフォーマンスなのかもしれない。それにしてもこういう凝った仕掛けを定点カメラ的なもので演じるももクロに全てまかせるような演出が成立するということに大規模ライブ演出のみならずテレビ番組の「ももクロChan」での10年以上の付き合いがある佐々木敦規のチームとの阿吽の呼吸が成立するような深い信頼関係があればこそだろう。
(その2に続く)
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