下北沢通信

中西理の下北沢通信

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ゆうめい ゆうめいの座標軸『俺』『弟兄』@こまばアゴラ劇場

ゆうめい ゆうめいの座標軸『俺』『弟兄』@こまばアゴラ劇場

作:池田 亮
今の「ゆうめい」に至るまでの軸となる代表作『俺』『弟兄』『あか』を再演します。
自分や他者の体験に対して別々のアプローチを経て作り上げた別軸の3作品を通して、より立体的に“ゆうめいの今までとこれから”を楽しんでいただければ幸いです。
そして新たな軸であるワークショップの発表公演もあります。
1作品だけ観ても楽しんでいただけるようブラッシュアップを重ねて、あの時できなかったことと、今できるようになったことをぐるっとまとめて発表します。




『俺』
2015年にゆうめいの初公演となった二人芝居。
今回は新たにギュッとまとめて一人芝居にて上演。
演出:小松大二郎 池田 亮
ドラマターグ:森谷ふみ

『弟兄』
克服できない嫌〜な体験から生まれてしまった話。
2017年のゆうめい代表作となってしまった話。
演出:池田 亮

『あか』 ※『あか』公演中止
祖父の絵を展示しながら実の親子が出演。
2020年版では別の親子も出演し、別の家族へ伝わっていく。
絵画制作:池田一末
演出:石倉来輝 石倉千津子 池田 亮 五島ケンノ介 小松大二郎

劇団側の意向により、『あか』についてのみ公演中止が決定いたしました。


 ゆうめいという劇団のことは以前早稲田小劇場ドラマ館で見た短編などからオーソドックスな会話劇を上演する劇団と思い込んでいたので、ネット配信の仕掛けを取り入れた「俺」が旗揚げ作品だと知り、吃驚した。ゆうめい「姿」ではリアルタイムでVtuberのソフトを劇中で操っていたので、これにも驚かされたが「俺」を見て、もともとこういう傾向もあった劇団だと考えれば納得がいく部分もある。
 とはいえ、一方で「俺」「弟兄」「姿」はいずれも作者自身のいじめ体験や両親との軋轢など実体験が基になっていて、そうした実体験を舞台作品に仕立て上げる手法にはハイバイの岩井秀人の強い影響があることがうかがわれた。