下北沢通信

中西理の下北沢通信

現代演劇やコンテンポラリーダンス、アイドル、ミステリなど様々な文化的事象を批評するサイト。ブログの読者募集中。上記についての原稿執筆引き受けます。転載依頼も大歓迎。simokita123@gmail.comに連絡お願いします。

女の子には内緒「老いは煙の森を駆ける」@こまばアゴラ劇場

女の子には内緒「老いは煙の森を駆ける」@こまばアゴラ劇場

柳生二千翔は無隣館出身・青年団演出部の若手劇作家・演出家。これまで「メゾンの泡」*1、「隅田川 森羅万象 墨に夢」プロジェクト企画 柳生二千翔「アンダーカレント」*2など、いろんな作風の舞台を見てきたが、日常を描くというよりは非日常的な設定を好むという以上の「こういう作風」というのが一言では焦点を結ばないきらいがある。
「老いは煙の森を駆ける」は老いゆく猟師と彼の子供をかつて殺した森の化身「獣(けもの)」との対決を描いている。どこかジブリ風味を感じさせるようなファンタジーである。現代演劇ではかなり珍しい作風といえそうだ。
 2021年になり、さらにコロナ禍が世界を覆っている中でポストゼロ年代(2010年代)演劇とはかなり違う世界観の作家が増えてきており、彼もそういう作家のひとりと言っていい。この舞台の当日パンフで柳生二千翔は次のような文章を書いている。その一部を引用してみよう。

私たちはカタストロフの中心地にいる。現在、COVID-19は人類よりは上位に立ち、私たちの生活を制限し、命を奪う。その関係の終わりがどこにあるのか、目を凝らしても、霞がかった時代は明瞭な答え映し出さない。改めて自然、そして地球というものは人智の及ばぬ存在であり、人の万能さは幻影なのだと感じる。(中略)成長志向が限界を迎える世界。私はその先の未来を思考するために、自然と人間の関係のあり方を再考し、過去・現在・未来に問いかける場を築く。

 作者がCOVID-19のことから語り始めているので、舞台を実際に見る前には森の化身「獣(けもの)」=新型コロナというメタファー(隠喩)の寓話的物語だろうかと思い見始めた。だが無理やり当てはめればそういう解釈も可能かもしれないが、ここで描かれているのはもっと豊穣かつ神話的な物語というのが分かった。
 今回の作品だけでは汲みつくされてはいないが、背後にもっと大きな「世界」の存在を感じさせる。私の世代には森の化身「獣(けもの)」と猟師の関係は手塚治虫の「火の鳥」を彷彿とさせた。
 「老いは煙の森を駆ける」には重力に操られて世界を巡っている女とか、「人類が滅びた」というような設定も出てくるが、そうしたディティールについては語りつくされてはいない。壮大な世界観を展開していくには「火の鳥」のように、サーガとして少なくとも5~10話の展開が必要かもしれない。
 ただ、柳生二千翔自身は次回作から「女の子には内緒」の活動の幕を下ろし、新たな集団「chi-so」の発足を発表している。この作品は「女の子には内緒」最後の作品となっており、将来何らかの形での続編を書くことになる可能性はあるが、シリーズを続けていくならタイミングとして最悪でもあり、継続する気はないのかもしれない。
 柳生二千翔の過去の作品から考えても今回の作品は異色ではあり、続きを作るならライトノベルか漫画原作の方が適しているかもしれない。
実は従来なら漫画かラノベが描いたような異世界系の物語を演劇でやるというのが、最近の若手の演劇の傾向のひとつという風にも思われてきた。昨年コロナ禍で配信で見たもののなかでもうさぎストライプ「あたらしい朝」、宮崎企画「回る顔」、かまどキッチン マグカルシアター2020における上演「人人人人人←根を張って聳える杉っぽい」などがそうであったし、少しリアル側に振れた設定ではあるが、ハナズメランコリー(HANAʼ S MELANCHOLY)STAGED READING VOL.1 『ジーンを殺さないで -Let Jean Live-』、コトリ会議 「セミの空の空」も異世界ものと言えるのかもしれない。
 平田オリザ岩松了らをへてのリアルな群像会話劇はチェルフィッチュ岡田利規)、ままごと(柴幸男)をへて大きく方向転換。ここ数年は主流の座を劇世界に非日常を取り込んだようなものへと変貌しつつある。
 実はそういう目でとらえたことはこれまであまりなかったのだが、ロロ(三浦直之)と五反田団(前田司郎)の登場が大きな分岐点だったのかもしれない。このことについては引き続き別のところでももう少し考えてみたくなってきた。 

劇作・演出:柳生二千翔

老いゆく猟師と、彼の子供を殺した森の化身。
山深い緑の大地から見つめた、「自然」と「人間」の過去・現在・未来。

太古より山に住む謎のいきもの・獸。
木が生い茂った小さな集落に住む山のひとびとは、獸ととくに接することなく、しかし存在は常に感じながら、日々共に生活してきた。

あるとき、獸ははじめて人を殺す。

憤った集落の男たちは討伐に向かうが、皆返り討ちに遭う。
生き残った数少ない者たちは集落へ引き返す中、猟師・シラスは鋭い目で森を睨みつけながら山を登る。
彼には引き返せない理由があった。
最初に殺された人間は、彼の子供だった。

女の子には内緒
劇作家・演出家の柳生二千翔が代表する演劇ユニット。2013年より関東を拠点に活動中。劇空間と外部環境をシンクロさせ、物語が鑑賞者の生活と地続きに繋がっていく作風が特徴。正しい/間違い、良い/悪いなどと単純化されない、“世界への新しい眼差し”を提供することを試みる。
2016年、第4回せんだい短編戯曲賞大賞受賞。2018年、本多劇場「下北ウェーブ2019」選出。同年、第1回人間座「田畑実」戯曲賞受賞。


出演
雄大(中野成樹+フランケンズ)、高山玲子、渡邊まな実

スタッフ
舞台監督|鐘築隼
助力|山内晶(キリグス/青年団
舞台美術|渡邊織音(グループ・野原)
衣装|永瀬泰生(隣屋)
音響|おにぎり海人(かまどキッチン)
照明|佐藤佑磨
記録映像撮影・宣伝美術|内田圭
記録写真撮影|金子愛帆
制作|井上尚子

歌舞伎座壽初春大歌舞伎

歌舞伎座壽初春大歌舞伎

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 歌舞伎座「壽初春大歌舞伎」を三部ともに観劇。この日は幕が上がって2日目だが、半沢直樹効果か松也の出た「壽浅草柱建」猿之助出演の悪太郎の第一部は通常の半分という現在のキャパでほぼ満席に近かったのに対し、他の回は空席が目立ち、観客のキャパを半分に絞り込んでいるから採算がとれない以前の問題として、コロナ禍のもとまだまだ劇場に観客が戻っているとは言い難い現状が痛感させられた。
 とはいえ、全体を通して言えば内容的にはなかなか見ごたえのある演目が並んだ。尾上松也中村隼人らによる「壽浅草柱建」は正月らしく曽我兄弟が登場する舞踊劇だが、例年であれば浅草公会堂での「花形大歌舞伎」に参加する若手が今年はそれがないため歌舞伎座への朝一番での登場となった。曽我五郎時致、曽我十郎祐成、小林朝比奈、大磯の虎ら「壽曽我対面」でおなじみの人物が勢ぞろいするが、舞踊劇とあってセリフはあまりない代わりに登場人物が七福神に見立てられるというビジュアル面での面白さがあって、華やかだし新春の演目に相応しかったのではないだろうか。
 続く「悪太郎」も舞踊劇だが、こちらは狂言がもとになっているだけにコミカル。深みはあまりないが、理屈なく楽しめ、ドラマ「半沢直樹」から猿之助の面白演技を期待してきた観客にも満足感を与えられるものだったのではないだろうか。
 この日の演目では第三部の「らくだ」も酔っぱらった男が大暴れという内容なのだが、舞踊劇として様式化された「悪太郎」と原作が落語で世話物的なリアリズム表現の「らくだ」とでは演技体に大きな差異があり、歌舞伎の表現の幅を感じさせるという意味でも興味深かった。
 第二部は古典歌舞伎の典型的な演目が並んだ。「夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ)由縁の月」は「廓文章 吉田屋」で知られる夕霧狂言のひとつだが、舞踊劇となっている。そのために伊左衛門の情けなさをたっぷりと見せていく上方世話物のコミカルさはあまりなくて、私には少し退屈だった。舞踊劇が多いのはコロナ感染対策もあるのかもしれないが、どうせなら「廓文章 吉田屋」そのものが見たかった。
 仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)祇園一力茶屋の場はこれも個人的な好みがあるのかもしれないが、なぜか吉右衛門の芝居にあまり魅力を感じなかった。この演目はもちろん何度も観劇経験があるのだが、一昨年末京都南座片岡仁左衛門、昨年年初に浅草で尾上松也の大星由良之助を見ていて、これがどちらも華があってよかったのだが、芸の力はあるのかもしれないけれど、どうも仁左衛門、松也のような役者としてのオーラがこの日の吉右衛門からは感じとることができない。
 第三部は菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)「車引」「らくだ」。 「車引」は高麗屋三代の揃い踏みである。白鷗はみごとな口跡で、幸四郎もそれに負けず劣らずのせりふ回し。比べると染五郎はまだまだ声の深みに欠けるきらいはいなめない。とはいえ、立ち姿の美しさは抜きんでていて、今後が楽しみである。祖父と父はいずれも外部の仕事で評価を高めていった。祖父のミュージカル、父の劇団☆新感線のような新たな出会いが今後染五郎にも出てくるだろうか。
 最後の「らくだ」は愛之助の達者さが際立った。最初はおとなしいのに酒が入ると態度がどんどん大きくなっていく紙屑買久六の酒乱ぶりをみごとに演じて万座の笑いをとっていた。「半沢直樹」でもコミカルな役作りが抜群であったが、これまではどちらかというと仁左衛門仕込みの色気のある二枚目の役が目立った。この人はやはり喜劇にも才能ありだと思う。

演目と配役
第一部
一、壽浅草柱建(ことほぎてはながたつどうはしらだて)
曽我五郎時致
曽我十郎祐成
小林朝比奈
大磯の虎
化粧坂少将
喜瀬川亀鶴
茶道珍斎
小林妹舞鶴
工藤左衛門祐経
松也
隼人
巳之助
米吉
莟玉
鶴松
種之助
新悟
歌昇
岡村柿紅 作
二、猿翁十種の内 悪太郎(あくたろう)
悪太郎
修行者智蓮坊
太郎冠者
伯父安木松之丞
猿之助
中村福之助
鷹之資
猿弥
第二部
坂田藤十郎を偲んで
今井豊茂 脚本
一、夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ)
由縁の月
藤屋伊左衛門
扇屋夕霧
太鼓持鶴七
同  亀吾
同  竹三
同  梅八
扇屋番頭藤兵衛
扇屋女房おふさ
扇屋三郎兵衛

鴈治郎
扇雀
亀鶴
虎之介
玉太郎
歌之助
寿治郎
吉弥
又五郎
二、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
祇園一力茶屋の場
大星由良之助
遊女おかる
鷺坂伴内
斧九太夫
寺岡平右衛門
吉右衛門
雀右衛門
吉之丞
橘三郎
梅玉
第三部
一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
車引
松王丸
梅王丸
桜丸
杉王丸
金棒引藤内
藤原時平

白鸚
幸四郎
染五郎
廣太郎
錦吾
彌十郎
岡 鬼太郎 作
眠駱駝物語
二、らくだ
手斧目半次
紙屑買久六
駱駝の馬太郎
半次妹おやす
糊売婆おぎん
家主女房おいく
家主佐兵衛
芝翫
愛之助
松江
男寅
梅花
彌十郎
左團次

笑の内閣 助成金申請型ZOOM演劇「助成の大学」@配信

笑の内閣 助成金申請型ZOOM演劇「助成の大学」@配信

検閲官と劇作家が台本を直していく三谷幸喜の「笑の大学」の物語の設定を基にして、助成金の担当職員と劇団の制作担当者が助成金の申請書類を直していくという物語。実際の申請書類に基づいたあれこれがZOOM画面の共有機能により視聴者(観客)に示されて物語は展開するのだが、それだけでも芸術家向けの助成金の要項が複雑怪奇と言い表したくなるほど難しすぎて、そうした制度設計が利用者の妨げになっていることが揶揄されている。
実際の申請を目指そうという芸術家にとっては入門編になっているとも言えるのかもしれないが、部外者である私にとっては芝居を観終わった後でも何を意味しているのかが理解しかねる部分もあり、印象としてはこんな制度設計をした役所はどうかしているという感じだけは伝わってきた。コメディとしては笑いの密度はいつもの笑の内閣の作品と比べると低いのじゃないかとも思ったが、文化政策批判としてはそれなりに機能していたかもしれないと思った。

作・演出:高間響 出演:由良真介 髭だるマン

 現在、芸術家向けの助成金が出ていますが、その要項が難しすぎ、運用が混乱しています。その修正依頼は最早、コメディと言える展開になっています。私も、何度も修正依頼がきて、色々とツッコミを入れました。これを、検閲官と劇作家が台本を直していく三谷幸喜氏の名作「笑の大学」のストーリーをもとに、担当職員と演劇人が助成金要項を直していく脚本にすることで、助成金の問題点を炙り出す作品です。

 笑の内閣16年目で初めての劇団員だけの2人芝居に挑戦します。

【あらすじ】

 人口200万人弱の、関東圏ではない政令指定都市・助駒市は、その人口規模の割には芸術方面が強い都市ではあったが、その財政は逼迫し財政再建団体転落の恐れもあった。そんな中おきたcovid-19の流行に助駒市は文化芸術特別助成金を新設する。しかし、4月から助成課に配属された審査課長の柿坂は、芸術には全く興味のない財政規律派で、不要不急な芸術への助成金には反発を持ち、重箱の隅をつつくような審査で落としていた。そうとは知らずにやってきた、市内の小劇団の制作妻木との、申請書をめぐる攻防が始まる。

《配信日時・詳細》

2021年1月2日20:00~

料金:2,000円(ツイキャスプレミアムにて販売)

https://twitcasting.tv/hibiki_takama/shopcart/44217

アーカイブの視聴及び販売は2021年1月16日(土) 23:59 まで

笑の内閣 お正月配信アフター企画 3「助成の大学」 アフターアフタートーク - YouTube

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 「オレステスとピュラデス」(作:瀬戸山美咲 演出:杉原邦生)@KAAT(Streaming)

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース 「オレステスとピュラデス」(作:瀬戸山美咲・演出:杉原邦生)@KAAT(Streaming)

 本来は劇場で観劇する予定でチケットまで手配していたのだが、体調を崩して行くことができなかったのが、舞台映像を配信することが分かり、それを見ることができた。
 ギリシア悲劇を基にした「グリークス」*1を演出・上演した杉原邦生が再びギリシア悲劇の世界に題材をとった新作戯曲を上演した。「グリークス」は海外作家の戯曲の上演だったが、今回は瀬戸山美咲による完全新作として、アガメムノンの息子としてギリシア悲劇にも登場するオレステスに加えて、新たにその親友であるピュラデスという人物を創作、二人の間の愛憎を描いた物語となった。
「グリークス」でも一部使っていたギリシア悲劇における群唱(コロス)部分をラップによる歌唱とすることで、一種の音楽舞踊劇の要素を強めたのが杉原演出の骨子で、これがスタイリッシュでありかつギリシア悲劇の本質と現代をつなげるような効果を生み出しており、そこが面白かった。
 オレステス役の鈴木仁、ピュラデス役の濱田龍臣ともに舞台経験は浅いようだが*2、存在感があって印象的な演技をしており、今後も舞台での活動が楽しみな存在となっていきそう。舞台経験があまりないことが、ここではどこか生々しさのようなものとして具現していて、ギリシアの歴史に登場するキャラクターというよりは現代人に通じるような「いま」も体現されていて、それがやはりトロイ戦争の後という歴史的な出来事を背景としながらも現在も世界のそこここで起きている紛争のようなこととの関連性を意識的に感じさせるような瀬戸山美咲のテキストともうまく呼応しているようなところが感じられた。

作:瀬戸山美咲
演出:杉原邦生
音楽:Taichi Kaneko
振付:北尾亘

出演:鈴木仁 濱田龍臣
   趣里 大鶴義丹
   内田淳子 高山のえみ 中上サツキ 前原麻希 川飛舞花
   大久保祥太郎 武居卓 猪俣三四郎 天宮良 外山誠二 

*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:鈴木仁は初舞台だったようだ。

笑の内閣「小劇場ボードゲーム( 仮)試遊会」中継

笑の内閣「小劇場ボードゲーム( 仮)試遊会」中継


小劇場ボードゲーム( 仮)試遊会中継

「小劇場ボードゲームを作ることにしました」
「事業をしねえとおりねえ(助成金より給付だろ)」という相変わらず使いづらい文化庁助成金(7月に募集開始して10月中に事業が終われとか、そんなん元々助成金がなくても企画してた事業じゃねえと無理だろ)ですが、それでも予算が余ると文化行政へ悪影響ということで、意地でも「この助成金がなかったらやらなかった事業をしたる」と思って考えた結果、演劇のボードゲームを作ることにしました。
Covid-19の影響で、オリザさんはじめ叩かれまくって、安易に「中止にすればいいじゃん」「配信にすればいいじゃん」ということをいくら言葉を尽くしても理解されない現状、どうやって伝えれば良いのかと考えていた時に、ふと見たのが人生ゲームでした。
私は、カタンの近畿チャンピオンを取ったことがあるくらいかなりボードゲームが強いので、人生ゲームなんて「ほとんどルーレット運で決まるゲーム」など全く面白いと思わないのですが、しかしあれは盛り上がってるんですね。改めて何が面白いんだと見たら、「ゲームの勝敗そのものより人生というものをロールプレイングすることが面白い」ようなのです。
なら、小劇場がいかに儲からなくて大変なものかをロールプレイングできるゲームを作って遊んでもらえば伝わるのではないかと思った次第で、「いや、ゲーム作りがどこが芸術振興になんねん」と突っ込まれないよう、申請書には「コロナ時代において、市民の文化芸術への理解のためには、口で説明するよりもゲームをしてもらうのが一番」という口先八丁な文章を書いたら見事採択された次第です。
ということで現在鋭意作成中ですが、ぜひ皆さんにもルール作りテストプレイをしていただければと思っています。こんな感じのゲームです
イントロダクション
あなたは大学3回生、学生劇団の同期が劇団を旗揚げするため制作者として、小劇場の世界へ飛び込みます。あなたは、信頼する天才脚本家をマネージメントし、役者をスカウトし動員をあげチャンスを生かし、トラブルを処理し、より大きな劇場に進出します。規定のラウンドが終わった段階で一番名声を高めた劇団はどこだ?
最低3ラウンド、最高は何ラウンドでも(遊びたい時間によって変えられる)の間に名声点を高めたプレイヤーの勝ちです。お金を稼ぐゲームではありませんが、ゲーム途中で破産をした場合は大きなマイナス点をくらいます
名声点は基本的に公演の成功によって高めます。とはいえ、動員が少ないといくら名声点が高くても赤字になります。スカウトする客演は、上手いけど動員をあまり呼ばない役者、下手だけどたくさん呼ぶ役者、どちらも高いがギャラが高い役者など様々な役者がいます。それらをうまく組み合わせ、かつ自分の劇団のカラーにあった客演を呼んで、動員・質共に芝居を成功させましょう。また、劇場は各ラウンドごと早い者勝ち、しかも次のラウンドの劇場を先に予約が出来ます。次の公演の結果が出来てないのに、次の次の劇場を予約するのはリスキーですが、先に他のプレイヤーに取られると希望の劇場を取られるジレンマを悩みましょう。
そして、良いイベントも悪いイベントも起こります。それらをうまく対処し、劇団の名声を高める、今回のCOVID-19の影響でオリザさんが叩かれたように世間の人が演劇がどれだけ苦しいかわかっていないので、それを遊びながら理解できるように作った劇団経営ロールプレイングボードゲームです。
1・役者カード
このゲームの基本は役者にオファーをしていくゲームです。
役者にはそれぞれ、コメディ力、シリアス力、アクション力、ヴォイス力の4つのパラメーターがあり、それぞれの力が高い方が優秀な役者です。しかし、優秀な役者が要求するギャラも高く、また一定の名声点がないとオファーに応じない役者もいるため序盤ではなかなかオファーは出せません。また、役者には動員力もあります。劇団の基礎動員だけでは確実に赤字です。下手だけども滅茶苦茶、チケットを売る役者もいます。お金を稼ぐことが目的のゲームではありませんが、動員が増えなければお金は足りなくなります。下手な点は妥協し、チケットを売る役者を呼ぶのも大切です。
また、役者には特殊能力を持つ者も多いため、「麻雀」のようにうまく役を作ることが大切です。
2・プレイする劇団を選ぶ
各プレイヤーは劇団ボードを選びます。
劇団はそれぞれの特色があります。全ての劇団は初期名声点として10点を持っていて、それに10をかけた数がが基礎動員になります。初期資金として劇団員で出し合った10万円を持っています。
劇団には、それぞれ座付き作家の作風があり、その作品にあった客演にオファーしなければなりません。例えば、「笑の内閣」がモデルの劇団では、劇団ボードに
コメディ力8Pでー1点、9・10 Pで0点、11・12P で1点、13・14 Pで2点、
15P以上で3点という表があります。ようは、役者のオファーの段階で、客演の合計コメディ力が8に満たないと−ポイントになってしまいます。3点稼ごうと思ったら15P分オファーを出さないとなりません。逆に、笑の内閣は身体力はほとんどいらないので、アクション力がマイナスになるのは1P時のみ、4Pあれば1点のような形になり、逆にアクション系の劇団だとコメディ力は低くてもいいけど、アクション力は高ポイントがいるというような形になります。
劇団はそれぞれ客演へのギャラ以外にも、制作費や衣装費、スタッフ人件費など固定費があり、それはラウンドが増えるごとにどんどん支出も増えます(スタッフのオファーまでゲームに取り入れると複雑になりすぎるため断念しました、スタッフは固定です)。1ラウンドでは15万円で程度ですが、5ラウンドになると100万円のようになる劇団もあります。一方、劇団員にスタッフがいる劇団は固定費がそんなにかからないというメリットがあります
また、劇団には固有能力があり、笑の内閣であれば「大物アフタートークゲストを呼ぶ」といった、点数を高めるための特殊効果があります
3 劇場
公演をするためには劇場が必要です(実際は屋外でも出来るけど)。劇場には、動員限界値と値段、チケット価格(チケットの値段は劇団で決めるとゲームが複雑化しすぎるため、劇場を使う際は固定にします。また、ロングランによるステージ数の増加もゲームの複雑化に繋がるため、劇場はどの劇場でも5日借りて仕込みは2日ステージ数は6ステということで固定します)が決まっています。
動員が低いのに高い劇場を借りると赤字になるけども、動員限界が低い劇場を借りると大評判を得ても満席になって動員が増えない、そのジレンマを抱えながら劇場を取ってください。また、劇場は先に他プレイヤーに取られると使用できません
4・ゲームの進行
基本的には、客演ドラフト→イベントの処理→点数計算の繰り返しです。
役者カードは全50枚からプレイヤーの数✖︎3枚が候補になります
まず、1ラウンド目は会場費のかからない、学内の劇場をとります。学内の劇場は、2ラウンド目まで使用でき(3ラウンド目からは卒業するので必ず、外の劇場を借りてください)、制限はありません。
先手からほしい役者を順番に、取っていきます。また、役者カードを取る代わりに劇場カードを取ることも出来ます。このゲームの特徴は次ラウンドの劇場をあらかじめとることもできます。先に劇場を取ることで他プレイヤーに先んじて別な劇場を取れますし、もちろん安全策のために結果が出てから2ラウンド目で2ラウンド目の劇場を取ることも出来ますが、そうした場合、役者ドラフトの1巡目は絶対に、劇場を取らないとならないためほしい役者を獲得できる可能性が減ります。劇場には、前ラウンドじゃないと取れないとか、前ラウンドだと安いという劇場もあるので、そこの兼ね合いも大事です。
役者や劇場を取り終わって、このラウンドではこれ以上は取らないと宣言した人が次のラウンドの先手になり、そこから時計回りになります
・イベントの処理
その後イベントの処理をします。イベントカードを引いて、その対応によって芝居の出来や動員が変わります。良いイベントも悪いイベントもありますが、適切に処理し制作としての力を見せつけましょう
・精算
イベントフェイズが終わったら、計算です。集めた役者の能力とイベントの効果を計算し、今ラウンドで獲得した点と、動員を計算しましょう。アップした点数分、点数ボードをあげ(その10倍が、次回ラウンドの基礎動員になります)動員✖︎チケットの値段のお金を受け取り、固定支出と劇場費役者のギャラを払います(基本、演劇は後払いです)。ここで貯金が赤字になった場合は、破産回避方法がいくつかありますが、いずれもかなりの痛手(マイナス点)になるのでなるべく赤字は回避しましょう
・次ラウンドになったら、役者の候補を3枚ずつ増やします。そしてこのラウンドを繰り返し、最終的に一番名声点が高い劇団の勝ちです
今後の課題
・劇団ボードの作成(5つくらい?)
・劇場カードの作成(10くらい?)
・役者カードの作成(50枚くらい)
・イベントカードの作成(50枚くらい)
これらのアイディアはどんどん募集してます。よろしくです
例えば、劇団、劇場、役者はモデルになるようなものと、特殊効果などを
イベントは「親が倒れた」とか「演出家が女優に手を出して揉める」のようなバッドイベントから「戯曲賞受賞」や「助成金が取れる」などのグッドイベントが半々くらいあると良いです

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2020年演劇ベストアクト  (年間回顧)

2020年演劇ベストアクト (年間回顧)

 年末恒例の2020年演劇ベストアクト を掲載することにしたい。さて、皆さんの今年のベストアクトはどうでしたか。今回もコメントなどを書いてもらえると嬉しい。
 今年はコロナ禍とそれにともなう劇場公演の相次ぐ中止という未曽有の出来事が演劇界を襲った。それゆえ、例年選んでいる演劇ベストアクトもこうした稀有の出来事に演劇作家たちがどのように立ち向かったのかということを無視して、選ぶということはできない。それゆえ、上位にはオンライン演劇などコロナ禍での演劇概念の拡張やこうした状況を踏まえて、我々に何ができるのかを深く考えた作品が上位に並ぶ結果になった。

2020年演劇ベストアクト
1,笑の内閣オンライン演劇「信長のリモート 武将通信録」(高間響作演出)@配信

2,KAATプロデュース(岡田利規×内橋和久)「『未練の幽霊と怪物』の上演の幽霊」*1@配信
3,吉祥寺からっぽの劇場祭コンサート(額田大志演出)*2吉祥寺シアター
4,恋を読むvol.3「秒速5センチメートル」(三浦直之演出)(ヒューリックホール東京)
5,月刊根本宗子第18号「もっとも大いなる愛へ」本多劇場・配信)
6,谷賢一によるひとり芝居 DULL-COLORED POP「アンチフィクション」(谷賢一作演出出演)*3(シアター風姿花伝
7,堀企画「水の駅」*4(アトリエ春風舎 )
8,小田尚稔の演劇「罪と愛」*5こまばアゴラ劇場
9,劇団あはひ「どさくさ」本多劇場*6
10,櫻内企画「マッチ売りの少女」(別役実作・橋本清演出)(アトリエ春風舎 )*7

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信長のリモート 武将通信録

 「信長のリモート 武将通信録」*8織田信長明智光秀によって本能寺に討たれた天正10年(1582年)において、もしネットがあり信長傘下の武将たちがZOOMで軍議をしていたらというSF的設定を取り入れたZOOM時代劇だ。信長側を描いたシナリオ1「本能寺のzoom」明智側を描くシナリオ2「麒麟がこぬ」 を2夜連続で上演した。
 今回のコロナ禍下で現状に即座に反応、病気療養で実家のある北海道に長期滞在中の作演出高間響が京都の俳優とZOOMで連絡をとり、それぞれの俳優が自宅から一人芝居を上演し好評を得たが、こちらは第二弾の企画。とはいえ、京都市が設立した新型コロナウィルス感染症の影響に伴う京都市文化芸術活動緊急奨励金に応募しての出演者多数のおそらくそれまでになかったであろうほど大規模なZOOM演劇となった。年明けにも助成金申請型ZOOM演劇「助成の大学」を配信*9。こちらはコロナ禍での芸術への助成金の使い勝手の悪さをコメディに仕立て上げたもので、時事的な問題に即応する感覚の鋭さはもっと高い評価を受けてもいいのではないかと思う。
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一方、KAATプロデュース(岡田利規×内橋和久)「『未練の幽霊と怪物』の上演の幽霊」=写真上=は一種のリモート演劇ではあるが、箱庭のような舞台空間を机の上に作り、そこに置いた写真立てのような小さな紙製のホワイトボードに役者の映像を投影(プロジェクション)していくという演出。これが複式夢幻能を模したテキストの構造と合致していて非常に面白かった。
 今回の上演では『挫波(ザハ)』『敦賀もんじゅ)』の一部分(能で言うと後ジテの登場する最後のクライマックス部分を除いた前半部分)を上演。『挫波(ザハ)』は日本の新国立競技場の国際コンペを勝ち取りながら、理不尽な理由で白紙撤回の憂き目にあい、その後に亡くなってしまった建築家、ザハ・ハディドについての物語。次の『敦賀もんじゅ)』では高速増殖炉もんじゅのことが描かれた。
 一見突飛な主題にも思われるが、不遇な運命により死んだ人間(あるいは人間以上の存在)の物語が旅の僧(前ジテ)によって語られ、最後にその幽霊として我々の眼前に示現するという複式夢幻能の様式がザハ・ハディドもんじゅが遭遇した運命とうまく合致していて、こういう形式を現代演劇に導入した岡田利規の狙いがよく理解できるようなものとなっていたのではないかと思う。
 岡田利規×内橋和久による音楽劇でもある。音楽劇としての素晴らしさを際立たせていたのは内橋和久の音楽で、彼の代表的な仕事であった維新派とは全く違うタッチだがやはり内橋節そのものであり、二人が組んだ意味は大きい。
コロナ禍で劇場が次々と閉鎖になる中で、吉祥寺シアターの動きは極めて先鋭的であった。観客ならびに演者・スタッフが、映像配信を交えた密集しない方法で、これからのシアターのあり方を研究・実践し、新しい劇場の姿をするための試みとして「吉祥寺からっぽの劇場祭」(チーフ・キュレーター綾門優季を企画。コンセプチャルな企画が多かった同劇場祭の中で唯一といっていい集客イベントが吉祥寺からっぽの劇場祭コンサート(額田大志演出)であった。観客と観客の間に大きな距離をあけるために通常は 189席の収容キャパがある劇場の観劇人数を30席前後に絞り込み、舞台に上がるパフォーマーも稽古時の接触を避けるためにほぼ全員が劇場と劇場祭の関係者のみとするなど、考えられる限り最大の感染防止策を実施しての公演であったが、公演のための感染対策というよりはこのコンセプト自体がこの作品の主眼だといってもよかったかもしれない。
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ロロの三浦直之もコロナ禍の状況にビビッドに反応した演劇作家のひとりであった。自粛期間初期の4月中旬にビデオ電話で交流する人々を描く連作短編通話劇シリーズ ロロ『窓辺』を配信。これは連作として3回にわたったが、二人の登場人物がリモートの画面で双方向の対話をしていく中で徐々にそこには直接は描かれていないフレームの外側の世界が立ち現れてくるというものであった。これはZOOM画面というビジュアルを使ってはいるけれど、直接は描けないものを見る側の想像力を喚起することで提示するという手法はまさに「演劇の力」の活用だと思う。
 こうした手法は三浦がこれまで手掛けてきた「いつ高シリーズ」の連作でも試みられてきたことをZOOM演劇に応用したとも考えられるが、そのシリーズの最新作を今度は配信だけではなく、観客を入れてKAATで上演。これも屋上を舞台に大スタジオの広い空間を使用し、作品上演中につねに送風機による風が舞台上を吹き続けるなどコロナ対策にも配慮した作品となっていた。
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 とはいえ、演劇ベストアクトではあえて劇団公演ではなく、劇場が再開された後の外部プロデュース作品である恋を読むvol.3「秒速5センチメートル」(三浦直之演出)*10(ヒューリックホール東京)=チラシ写真上=を選んだ。新海誠のアニメ作品をロロの三浦直之が舞台化した。「恋を読む」という企画として、演者は全員が台本を手に持ちながら、互いに離れた台の上などで演じあうスタイルを取っている。これは観客にシーン、シーンで演じられる場に想像力の余地を残す効果をもたらしている。例えば、1場では俳優の実年齢よりも年齢の低い少年少女を演じるわけだが、半ば朗読の要素を強く残すことで、観客はそこにいるのが実際には少年であり、少女なのだというのをイメージすることになる。しかも、それが新海誠の作品を少しでも知っている観客であればそこで投影されて、俳優の演技の先に浮かび上がるイメージはかならずや新海キャラの刻印を押されたものとなるのではないかと思うのである。
 脚本は三浦自身が担当しているが、面白いのはこれが会話だけによって構成された台本をただ読み合うというのではなくて、アニメでは素晴らしいビジュアルによって表現されている情景描写や心情描写などが会話と一緒に書き込まれていて、これを演者は小説を朗読するときのように読んで演じていく。ただ、舞台の背景には満開の桜や降りしきる雪、満天の星などのアニメ映像も映し出されて、セリフだけでは伝わりにくいかもしれない周辺の状況を示すようになってもいる。
 三浦と新海には世界観において共通点が多い。三浦がロロの旗揚げ以来創作してきた作品の多くは「ボーイ・ミーツ・ガール」、つまり男女間の恋愛を主題としたもので、しかもそれがあらかじめ「成就不可能」なものである。つまり、三浦はいろんな形で必然的な失恋を描き続けてきたわけだが、この「秒速5センチメートル」はまさしくそういう作品であり、それを三浦が演出するのはまさに水を得た魚のようなものだったといえたのかもしれない。

演劇の生配信といっても劇場での上演をただ中継するようなものが多い中で、月刊根本宗子第18号「もっとも大いなる愛へ」本多劇場・配信)は興味深い実験であった。さらにいえばこうした試みを小規模な劇場で行うのではなく、すでに有観客の公演が行われている本多劇場で行うところも画期的であった。一組は学生と思われる男女(伊藤万理華、小日向星一)、もう一組は姉妹(藤松祥子、安川まり)のコミュニケーションのすれ違いの物語。互いに愛情を持っていながら、分かり合えないもどかしさは普遍的な主題でもありながら、コロナ禍の現代の世相を反映しているのかもしれないと思えてきた。
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 いわゆる普通にある舞台やテレビドラマのように分かりやすい感情を提示していないのがこの作品の興味深いところだ。伊藤万理華演じる女は小日向星一演じる男に呼ばれて、喫茶店のような場所でお茶をしている。彼女はどうやら何か相談事があるらしい男性に自分はその男に好意を持っていて彼の助けになりたいんだというようなことを冗舌に伝えようとするのだが、話せば話すほど彼女の思いは伝わらず、思いも空転し、男に「何を考えているのか分からない」と言われてしまう。それはかならずしも全面的に彼女を否定するものではないのだけれど、彼女にはネガティブなものにしか受けとることができない。
 一方、別の場所ではホテルに長期滞在している姉(安川まり)の元に妹(藤松祥子)が訪ねてくる。整理整頓や家事がてきぱきとできる妹とは違い姉には家事ができない。洗濯物を何日分もため込んだりしているうちに家がメチャクチャになり、そのままホテルに逃げ込んできたのだ。しかも働きにも出ていないから収入もなく、ホテル代も払うことができなくなっている。妹は何とか姉を助けたいが、いろんなことができる妹に対して劣等感を持つ姉は妹が「こうしたらいい」という案を提案すればするほどネガティブな感情にさいなまれて二人の間はうまい具合に意思の疎通ができない。
 この舞台ではこの二つの関係が交互に語られて、ディスコミュニケーション的状況が進行していくのが対比されていく。物語が観客の興味のドライビングフォースにはなっていかず、それぞれの俳優の微妙な感情の揺れを丁寧に演じることにより、関係の揺らぎが提示されていくことになる。その演技、そしてそれに対する演出的フィードバックはきわめて繊細なもので、観客が自ら能動的に関係性を読み取るということをしないと「訳が分からない」まま終わってしまうかもしれない。
 特に伊藤万理華と藤松祥子の二人と根本宗子との間には深い信頼関係があることが伺えた。そのフィードバックも阿吽の呼吸めいたものが感じられた。それが見られたのがこの配信演劇の最大の見どころだったかもしれない。
谷賢一作・演出・出演によるひとり芝居DULL-COLORED POP 第22回本公演「アンチフィクション」がコロナ禍による自粛後、初の劇場での演劇公演観劇となった。入場できる観客の数は通常の半分程度に設定されており、入り口では検温、手の消毒、足(靴)の消毒などのコロナ対策の基本的な手順がなされていた。今回の「アンチフィクション」は作者の谷賢一の自作、自演によるひとり芝居であり、体感からすれば感染リスクはそれほど高くはないのではないかと感じた。とはいえ、表題の「アンチフィクション」の通りにコロナ禍の現況におかれ、演劇における虚構(フィクション)の有効性に疑問を感じざるをえなくなった劇作家が書けないことに苦悩するという筋立て。それを劇作家本人が演じるわけだから一種の「私演劇」といってもいいのかもしれない。
 このひとり芝居では冒頭「この話には、フィクションはありません。起こること、起こったことはすべて、本当です。主人公は、私。三十八歳、男。職業、劇作家・演出家。私が語ることはすべて本当であり、私が語ったことはすべて本当になる」といわば表題通りのアンチフィクション宣言を行う。
 そして、ここから戯曲の執筆が進まずに毎晩自宅で飲んだくれている劇作家(谷賢一)の話が始まる。興味深いのこの舞台では「私が語ることはすべて本当」と言いながら、例えば平田オリザの現代口語演劇の手法のように日常がリアルに描かれるのではなく、照明効果や劇伴音楽、ダンスや身体表現の要素などこれまで演劇がつちかってきた様々ないわゆる「演劇的手法」を作品の中に盛り込んでいく。すなわち、平田はいかにリアルに見える虚構を描くかということを試みたのに対し、この作品での谷は語る対象の事実性を担保にそこに様々な演劇的虚構性を放り込んでいく。ここまでは作品中で谷(あるいは谷の演じる人物)が自ら説明しているこの作品の枠組みだ。
 さて、実はこの後がこの舞台を見ている間中、私がずっと考え続けていたことなのだが、「劇中で作中人物が語ることは本当に本当なのだろうか」というのがここで問い直したいことなのだった。かなり以前遅筆で有名な劇作家、北村想は書けなくなった作家は本当に書けなくて困った時に自分を作品に登場させ、書けなくて悩む様子を書くというような内容のことを語っていたという記憶がある。事実、彼の作品には北村を思わせる作家がよく登場して、書けないで悩む様子が描かれたりもする。
 今回の舞台の最初の方を見た時にこの作品もまさに「私演劇」として書けない自分を描いたものなのかなと思ったが、すぐにそんな単純なものではないことは分かってきた。例えば、それはまだ最初のほうの部分で芥川賞受賞作家の西村賢太の名前をやや唐突に出している。一見単に作者が好きで出したというような風を装いながらも、西村が日本文学の伝統的な流れである「私小説」の末裔に属するように、自分もそうした日本の伝統を受け継ぐものだと主張することで、形式としての「私演劇」を展開しているとの表明の一部であるようにも感じさせられたからだ。しかも、それはいささか小粒ではあるが、太宰治織田作之助、そして現代における無頼派の後継である西村賢太という文学的潮流の中に自分を意識的に位置づけているように描いているのではないかと気が付いたからだ。
 そうであるとすれば日本文学の伝統である私小説のスタイルを意図的に模倣しながら、そうすることで「虚偽ないまぜのこの話」をいかにも「本当のことらしく」語るという意味では平田と方法論は異なっても同じベクトルの思考が谷にもあるのだ。
 もっとも「私演劇」としての装いを谷は舞台の後半部分では完全にかなぐり捨てる。大人用のおむつをはいたままで「私を月に連れていって」を歌い踊るところなどから、そのことはかなり明白なのだが、その後のシェアハウスで起こった出来事の描写などはリアリズムのかけらもなく、むしろシュール・レアリスムやナンセンスを感じさせるような「アンチリアル」なことばかりだからである。ここで作者はなぜかユニコーンに出合うが、ユニコーンが語るのが同じ日本文学者でもダダイズムに影響された詩作を行った中原中也の「春の日の夕暮」であることは冒頭の西村賢太との対比において興味深い。
 コロナ自粛明けの上演作品としては谷賢一作品以外に堀企画「水の駅」(アトリエ春風舎 )、小田尚稔の演劇「罪と愛」(こまばアゴラ劇場)、櫻内企画「マッチ売りの少女」(別役実作・橋本清演出)(アトリエ春風舎 )の3本を選んだ。このうち「水の駅」は太田省吾、「マッチ売りの少女」は別役実の作品でいずれも現代演劇における古典というべきテキストを現在の眼で再構築している。一方、小田尚稔の新作はドストエフスキーの「罪と罰」を下敷きにはしているが完全にオリジナルの現代劇で、これまでモノローグのひとり芝居的な場面の連鎖によって作劇を行っていた小田が明らかに方法論を変更、新たな表現の地平を獲得した作品として特筆すべきものだった。

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劇団あはひ「どさくさ」(本多劇場

 劇団あはひ「どさくさ」(本多劇場は現役学生劇団(早稲田大学)が本多劇場で公演、古典(落語)をベースにした作劇、学生劇団とは思えぬ緻密な空間構成で会場に負けないような成果を残したという意味でコロナがなければ年間を通してももっとインパクトを残すような出来事になっていたかもしれない。いずれにせよ、この作品でこの劇団は次世代を担う有力な存在へと名乗りを上げたといっていいだろう。
 落語「粗忽長屋」を下敷きに生と死のあはひ(間)を描く。本多劇場の広い空間を完全に使いこなし、俳優の演技も含め若手トップ級。学生劇団(メンバーは全員早稲田大学の3年生)としては破格の実力を見せつけた。
 テキストは「粗忽長屋」から取ってきたが、落語の諧謔ぶりを笑いに消化するのではなく、自分の死体を自分が発見し、死体を抱きながら「抱かれているのは確かに俺だが、抱いてる俺は誰だろう」というという不条理の構造を死者の亡霊を召還する能楽隅田川」のテキスト構造に接近しながら提示している。 
 日本の古典演劇の代表でもある能楽が複式夢幻能という形式で死者の霊や異界のものを示現させるという形式を提示したこともあってか、日本では現代演劇でも類似の構造を持つ演劇はたびたび現れたが、多くのものは日本の古典演劇の様式も借り受けた「語りの演劇」であった。
 ところが、あはひの場合、今回は特に中間項として話芸である落語を媒介としたこともあってか、落語が得意とする怪談噺のように「日常」を淡々と描いた会話劇の体で進んでいき、気がついてみるとそこに「非日常」である怪異が極めて自然に姿を現している。何の変哲もなく思われる上演が実は平凡ではないこと。ここに劇団あはひの魅力はある。
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*1:simokitazawa.hatenablog.com

*2:simokitazawa.hatenablog.com

*3:simokitazawa.hatenablog.com

*4:simokitazawa.hatenablog.com

*5:simokitazawa.hatenablog.com

*6:simokitazawa.hatenablog.com

*7:simokitazawa.hatenablog.com

*8:simokitazawa.hatenablog.com

*9:simokitazawa.hatenablog.com

*10:spice.eplus.jp

*11:2019年演劇ベストアクトhttps://simokitazawa.hatenablog.com/entry/2019/12/31/000000

*12:2018年演劇ベストアクトhttp://simokitazawa.hatenablog.com/entry/2018/12/30/145529

*13:2017年演劇ベストアクトhttp://simokitazawa.hatenablog.com/entry/2017/12/30/010000

*14:2016年演劇ベストアクトhttp://simokitazawa.hatenablog.com/entry/20161231/p1

*15:2015年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20151231

*16:2014年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20141231

*17:2013年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20131231

*18:2012年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20121231

*19:2011年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20111231

*20:2010年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20101231

*21:2009年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20091231

*22:2008年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20081231

*23:2003年演劇ベストアクトhttp://www.pan-kyoto.com/data/review/49-04.html

*24:2004年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/200412

*25:2005年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20060123

*26:2006年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20061231

*27:2007年演劇ベストアクトhttp://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20071231

ももいろクローバーZ「第4回ももいろ歌合戦」

ももいろクローバーZ「第4回ももいろ歌合戦」

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abema.tv

第4回ももいろ歌合戦 アイドルメドレー2020
WISH/嵐
桃色片想い/松浦亜弥
セーラー服と機関銃/薬師丸ひろ子
YOUNG MAN/西城秀樹
なんてったってアイドル/小泉今日子
鼓動の秘密/東京女子流
男の勲章/嶋大輔
Mr. Moonlight~愛のビッグバンド~/モーニング娘。
White Love/SPEED
ポリリズム/Perfume
恋するフォーチュンクッキー/AKB48
アザトカワイイ/日向坂46
Make You Happy/NiziU
えびぞりダイアモンド!!/私立恵比寿中学
ガンバレ乙女(笑)/アイドリング!!!
一緒に…(Hapiness 2020)/MAX
アッパーカット!/アップアップガールズ(仮)

目玉は「アイドルメドレー2020」

ももいろ歌合戦視聴を終了。今回の一番の目玉は「アイドルメドレー2020」だったといえそうだ。とはいえ実は私はAbemaTVで視聴していたため、BS日テレだけでの放映となった冒頭の嵐「WISH」ももクロによる振り付けを含めた完全カバーがあったことは知らずに今朝になって録画でようやく見返すことができたところだ。カバー曲なんだから問題はないのではないかとも思うのだが、これまで「新しい地図」を推しつづけてきたAbemaTVとジャニーズ事務所の間に何か大人の事情のようなものがあるということだろうか。もし、そうであるならよいパフォーマンスだっただけに残念としかいいようがない。この曲は嵐とももクロが今回と同じ会場で行われたFNS歌謡祭で共演した曲で、その時と同じ映像ディレクターがカメラ割りを担当、可能な限り同じになるように寄せたことも話題となった。
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もっともそれ以外にも見どころは満載であった。個人的に胸熱であったのが、私立恵比寿中学の転校(卒業)メンバー2人(宇野愛海瑞季*1と現役5人が一堂に会して披露した「えびぞりダイアモンド!!」である。 アップアップガールズ(仮)アップアップガールズ(2)が一緒に「アッパーカット」を歌い、この日を最後にメンバー5人のうち4人が卒業、グループは存在するもののほぼ完全に新しい顔ぶれとなってしまうアップアップガールズ(仮)の旧メンバーによる最後の雄姿を見送った場面も感動的だった*2。かつて高校のクラスメートであった朝日奈央[と百田夏菜子が共演したのもいつか見てみたかった光景の実現として嬉しかった。朝日と夏菜子のダブルセンターでアイドリングの「ガンバレ乙女(笑)」が歌われた場面もよかった。
 今回はたこやきレインボーとときめき宣伝部は自曲の披露がなく、ほぼこのアイドルメドレーのために駆り出された形となった。たこ虹のファンとしては若干の不満も残らないではなかったのではあるが、披露曲目については外から招いたグループを重視するのは仕方のないことではあろう。とはいえ、残ったアーカイブを見直すと両グループメンバーともに持ち味を発揮することができていたし、特にSPEEDの「White Love」を歌った堀くるみは短い時間の中で持ち味の歌唱力の高さをファン以外にも見せつけることができて、爪痕をしっかりと残すことができたのではないだろうか。

紅白ではできない対決

 歌合戦本編は木梨憲武とんねるず)、EXITのお笑いの新旧対決でスタートしたが、いずれもボケは封印して歌での真剣勝負となった。EXITについては今までその軽さに侮っていた部分もあったがはとにかく歌がうまい、世代がまったく違うので似ているという印象を受けたことはこれまでなかったのだが、本業である漫才よりもバラエティなどで持ち味を発揮、今回披露した歌など多彩なジャンルに活動の広がりを感じさせるところなどにとんねるずとEXITには意外と共通点もあるのかもしれないと思った。
 本編で見ごたえがあったのはLUNA SEA河村隆一とL'Arc〜en 〜Ciel(ラルク アン シエル)のHYDEのロックスター対決。これは本家のNHK紅白歌合戦でも実現しなかった組み合わせで、こういうのが見られたのも、ももいろ歌合戦の面白さだと思う。
 NHK紅白と比べてどうこう言うのも気が進まないのだが、歌【合戦】という企画の趣旨からしても男女に拘らないで紅組白組を決められる*3ことから興味がそそられる紅白対決のアングルが作りやすいのもこの歌合戦の企画上の利点であろう。
 中澤卓也対塩乃華織のような歌うま歌謡曲歌手対決もあれば夕闇に誘いし漆黒の天使達対TTJのような音楽活動もしているYoutuber同士の対決というのも面白かった。妃海風 feat. 花柳糸之社中/「パート・オブ・ユア・ワールド」と尾上松也/「俺のおかげさ」は曲名発表を見ただけではピンとこなかったのだが、本家紅白を意識したようなディズニー楽曲対決(しかも松也は歌った曲のアニメ版日本語吹き替えを担当しているから、ディズニーのキャラクターを出すことはできないが、こちらの方が本家とさえいえる)。宝塚出身で歌唱力には定評のある妃海風ディズニープリンセスを演じるというのも恒例になりつつある。
 恒例という言葉もひとつのキーワード。テレビ東京の芸人マジ歌選手権などでも知られる東京03角田晃広も常連の出場者になっているが、対戦相手の浅草出身の大物師匠の触れ込みでビートきよしが登場するのも恒例。このコーナーは角田がいっさいのボケとかなしにフルコーラスを歌いきるというのと熱湯風呂に入っている間だけ「浅草キッド」を歌うことができるというルールで登場したきよし師匠が結局まったく歌えないというところまで含んでのバラエティーブロックであり、完全に昨年と続いていて続編になっているし、ネタがエスカレーションして今年は某大物芸人Youtuberが乱入するというところまでがワンセット。ネットには毎回歌わせてあげればとか師匠に失礼などのピントのずれた感想も散見されるが、バラエティーのお約束の王道中の王道。ただ歌って帰らせたらその方が師匠に失礼だろう(笑い)。*4
 全体の中で見ている最中に「これはいったい何を見せられているんだろう」と困惑させられたのがZERO「NAROCO」であった。昭和歌謡風の楽曲ではあるが、バックに流れている変なアニメのダンス映像といいどうもおかしい。これだけはここで説明するより、アーカイブ映像を見てほしい。

非ジャニーズ系男性アイドル対決も

スターダストプロモーションは女性アイドルグループを統括しているスターダストプラネット以外にも男性アイドル部門がある*5が、そこから2年連続で出演したのがSUPER★DRAGON。前年同様に「行くぜっ!怪盗少女」をパフォーマンスした。
 彼らはアイドルメドレーでバックダンサーも務めたので、そうした要員として選ばれている面もある。とはいえ、ダンスや歌の力量は相当なもので、若いというのは凄いもので、昨年の記憶と照らし合わせてみると、以前はまだ子供らしいメンバーも交っていたのがたった1年で驚くほど大人びてきていたのにビックリした。
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 本編では吉本興業のダンス&ボーカルグループOWVと対決。こちらの方もデビュー間もない若いグループだがなかなかの実力派。実は彼らには超特急、DISH//(スタダ)、JO1(吉本)というよりメジャーな人気を持つグループがあり、いずれもゲバ評では紅白直前と言われながらもジャニーズの壁に阻まれて手が届いていない。

TIK TOKからプロ野球まで 充実の「今年の顔」

 ももいろ歌合戦のもうひとつのセールスポイントは本編に挟まれていくつか展開された特別企画であろう。冒頭に挙げた「アイドルメドレー2020」もそのひとつだが、それに負けないほど充実していたのが「今年の顔2020」と「機動戦士ガンダム〜はじまりのはじまり〜」だ。
 紅白歌合戦には今年の若者人気の顔としてYOASOBIが登場したが、こちらも負けず劣らずの顔ぶれ。中でも話題の主として紅白に出ていてもおかしくないのにこちらに出ている目玉として「ポケットからきゅんです!」のひらめとプロ野球日本一のソフトバンクホークスから石川柊太投手の登場。今回は本編でも新アルバム「田中将大」発売に合わせたように田中将も出演。ファンキー加藤と一緒の「On Your Mark」が初披露したが、この日米野球界のスターをあえて絡ますことをしていないのもももクロらしいといえるかも言えない。それにしてもAKBイベントへの参加をももクロにアイドルDDと糾弾された田中将を継承するかのようにこの歌合戦でたこやきレインボー(たこ虹)と出会って一緒に写真を撮っていた石川が年明けのたこ虹の配信番組のコメント欄に降臨していたのには笑ってしまった*6*7

▼今年の顔2020
ファーストサマーウイカ with ハラミちゃん/「紅蓮華」
・えなこ/「名探偵キミに次ぐ」
・川崎鷹也/「魔法の絨毯」
・石川柊太 with 佐々木彩夏/「仕事した」
・KANAKOO/「香水」
・703号室/「偽物勇者」
・ひらめ/「ポケットからきゅんです!」

 ご本人が紅白に出演している「紅蓮華」と「香水」ではバラエティー番組の活躍などで知られるファーストサマーウイカ with ハラミちゃんで対抗。出演が予告されながら歌合戦の紅白のセトリにはなかったKANAKOOが歌うことで対抗した。BiSの元メンバーだというのは知ってはいたが、ファーストサマーウイカ の歌唱力の高さには驚かされた。紅白では覆面グループのGReeeeNがCG映像で歌ったが、こちらはやはり覆面歌手のひらめがチープなお面を着けて歌い、インタビューコーナーにも出演。意図したわけではないだろうが図らずもアングルになっていて、それも笑えるポイントだった。

ひらめ🐠「ポケットからきゅんです!」
 個人的には今回の番組ではじめてその存在を知ったのだが、楽曲、演奏、歌唱も含めて総合的に「いい」と思わせたのが、703号室「偽物勇者」だった。椎名林檎に少し似てるなとも思ったのだが、林檎ファンの妻に聞いたら「全然違う」と言われたし、真似ではないのは確か。気になるバンドで今後の動きにも注目したいという気にさせられた。その後、同じバンドの別の曲をYotubeで聴いてみると全然椎名林檎を思わせる部分はなかったので私の勝手な勘違いだったのだろう。ただ、聴いてみた2曲はどちらもいい楽曲でアクセス数からするとほとんど他の曲は知られていないようだが、今後ブレイクする可能性はかなりありそうだ。

https://walker21.com/703-『偽物勇者』(Music Video)

703号室-『fliP』(Music Video)
 このコーナーではサイプレス上野のフルースタイルラップによるMCも名人芸の類でよかったと思う。

ファン垂涎のガンダムメドレー

 一方、ファンには垂涎の的だったのが本広克行監督の演出による「機動戦士ガンダム〜はじまりのはじまり〜」である。ガンダムシリーズにはシリーズごとにファンが多いが、今回はこの回ではあえて「ファーストガンダム」の楽曲群に絞り込んだ。私はガンダムファンとは言い難いが、それでもここで歌われた曲についてはだいたい聞いたことがある。
森口博子「めぐりあい」と戸田恵子「いまはおやすみ」が素晴らしいが、ももクロファンとしては玉井詩織がギターの弾き語りで歌った「哀 戦士」には思わずうならされた。歌はともかくギターはここまでうまくなっていたかと少し驚かされた。
 楽器と言えば高城れにウクレレ演奏で高木ブーと共演。ももクロは以前から目標とすべきグループとしてSMAP、嵐、ザ・ドリフターズの3グループを挙げていた。今年はそのうち嵐が活動休止、ザ・ドリフターズ志村けんがコロナで亡くなるという大変な年であった。嵐については冒頭で取り上げたようにアイドルメドレー2020で「WISH」のカバーをしてエールを送ったが、ザ・ドリフターズではメンバーから初めて高木ブーが参加した。高木ブーは「たかぎ」つながりで以前から高城れにが親しくさせてもらっており、今回の参加にはそのつながりももちろんあるだろうが、番組中ではあえて触れるのは避けていたが、やはり番組に何度も呼ばれるなど親交があった志村けんへの追悼の意味合いもあったのではないか。
 とは言え最後の最後で披露されたこともあり本当に驚かされたのが、映画「すくってごらん」の登場人物である生駒吉乃として披露した百田夏菜子の華麗なピアノ演奏による弾き語りデュエットである。考えてみれば映画の収録を実際にしていた一昨年参加したフェスでももクロバンドとしてピアノを担当していたりと若干の伏線はあったのだが、この映画のことは完全に伏せられていたため、ピアノ演奏もあからさまな形では披露されたことはなかった。以前、テレビドラマの役柄でそれまであまり出来なかったギター弾き語りを披露してびっくりしたこともあったが、この人はしっかりした目標があって何かを習得しようと挑んだ時の集中力は凄いと改めて思った。

第4回 ももいろ歌合戦
2020年12月31日(木)〜2020年1月1日(金)
東京都・グランドプリンスホテル新高輪 飛天
総合司会/東京03
応援団長/舘ひろし

■紅組出演者/披露楽曲
01. 木梨憲武/「不機嫌なモナリザ
02. Happy Around! from D4DJ/「ぐるぐるDJ TURN!!」
03. OWV/「Ready Set Go」
04. STARRY PLANET☆/「Bloomy*スマイル」
05. アップアップガールズ(仮)アップアップガールズ(2)/「FOREVER YOUNG」
06. Kizuna AI/「Touch Me」
07. 中澤卓也/「約束」
08. 夕闇に誘いし漆黒の天使達/「猫サンキュー」
09. サイプレス上野とロベルト吉と野/「PRINCE OF YOKOHAMA 2016」
10. 松本明子/「星猫」&「リンドバーグ
11. スカイピース/「オタパリパーティー
12. ファンキー加藤 with ももいろクローバーZ/「On Your Mark
13. 高木ブー高城れに/「ON A LITTLE BAMBOO BRIDGE」
14. 河村隆一/「名なし花」
15. 夢スター春・秋 選抜メンバー(あべ静江石井明美・石田重廣・桑江知子・ZERO・平浩二・高道・保科有里・三善英史)/「ごめんなさい、ありがとう」
16. 妃海風 feat. 花柳糸之社中/「パート・オブ・ユア・ワールド」
17. Creepy Nuts/「かつて天才だった俺たちへ」
18. 加藤いづみ/「好きになって、よかった」
19. 角田晃広東京03)/「HOLD YOUR LAST CHANCE」
20. さだまさし/「奇跡2021」
21. 西川貴教/「As a route of ray」
22. 松崎しげる/「愛のメモリー

■白組出演者/披露楽曲
01. EXIT/「I got it get it」
02. Reol/「第六感」
03. SUPER★DRAGON/「行くぜっ!怪盗少女」 
04. オーイシマサヨシ/「世界が君を必要とする時が来たんだ」
05. mirage²/「キセキ」
06. 私立恵比寿中学/「仮契約のシンデレラ
07. 塩乃華織/「七尾線
08. TTJ/「シャウト!」
09. HY/「AM11:00」
10. 戸田恵子/「強がり」
11. 氣志團/「走れ!」
12. 東京女子流/「キミニヲクル」
13. 倖田來未/「Killer monsteR」
14. HYDE/「ZIPANG
15. ZERO/「NAROCO」
16. 尾上松也/「俺のおかげさ」
17. 広瀬香美 with 百田夏菜子/「ロマンスの神様
18. 森口博子/「君を見つめて-The time I’m seeing you- / with 本田雅人」&「水の星へ愛をこめて
19. ビートきよし/「浅草キッド」 
20. 泉谷しげる/「春夏秋冬」
21. NOKKO feat. 佐々木彩夏/「人魚」
22. 香芝誠・生駒吉乃/「この世界をうまく泳ぐなら」

▼特別企画出演
市川猿之助
岡田将生
・オラキオ
江頭2:50
・GO(オテンキ)
シルクロード(Fischer's)※コメント出演
笑福亭鶴瓶
・ジョーク東郷
田中将大
・中山秀征
ほたるゲンジ

▼最強アイドルメドレー
妃海風/「♡桃色片想い♡」
玉井詩織/「セーラー服と機関銃
・中澤卓也・サンダードラゴン(SUPER★DRAGON)/「YOUNG MAN」
柏木ひなたたこやきレインボー・超ときめき♡宣伝部/「なんてったってアイドル
東京女子流ももいろクローバーZ/「鼓動の秘密」
野々村真・ファイヤードラゴン(SUPER★DRAGON)/「男の勲章」
・アップアップガールズ(2)・私立恵比寿中学/「Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜
新井ひとみ東京女子流)・佐保明梨アップアップガールズ(仮))・塩乃華織・堀くるみ(たこやきレインボー)/「WHITE LOVE
高城れに・松本明子・森口博子/「ポリリズム
アップアップガールズ(仮)たこやきレインボー・超ときめき♡宣伝部/「恋するフォーチュンクッキー
・アップアップガールズ(2)・佐々木彩夏たこやきレインボー東京女子流/「アザトカワイイ」
・塩乃華織・妃海風SUPER★DRAGON/「Make You Happy」
私立恵比寿中学宇野愛海瑞季/「えびぞりダイアモンド!!」
朝日奈央ももいろクローバーZ・超ときめき♡宣伝部/「ガンバレ乙女(笑)」
朝日奈央ももいろクローバーZ/「一緒に・・・(Happiness 2020)」
アップアップガールズ(仮) ・アップアップガールズ(2)・朝日奈央ももいろクローバーZ星名美怜私立恵比寿中学)・中江友梨(東京女子流)・清井咲希(たこやきレインボー)・辻野かなみ(超ときめき♡宣伝部)/「アッパーカット」

機動戦士ガンダム〜はじまりのはじまり〜
オーイシマサヨシ/「砂の十字架」
玉井詩織/「哀 戦士」
森口博子/「めぐりあい」
戸田恵子/「いまはおやすみ」

▼今年の顔2020
ファーストサマーウイカ with ハラミちゃん/「紅蓮華」
・えなこ/「名探偵キミに次ぐ」
・川崎鷹也/「魔法の絨毯」
・石川柊太 with 佐々木彩夏/「仕事した」
・KANAKOO/「香水」
・703号室/「偽物勇者」
・ひらめ/「ポケットからきゅんです!」

ヒプノシスマイク 特別応援ラップ
ヒプノシスマイク(山田二郎・入間銃兎・夢野幻太郎・伊弉冉一二三・躑躅森盧笙・四十物十四)

水前寺清子&LINE UP/「三百六十五歩のマーチ

ももいろクローバーZ 2021 LIVE
01. 行くぜっ!怪盗少女 -ZZ ver.-
overture ~ももいろクローバーZ参上!!~
02. PLAY! 
03. 今宵、ライブの下
04. 月色Chainon
05. ニッポン笑顔百景

*1:アイカツプラネットのアイドルグループ「STARRY PLANET☆」としてももいろ歌合戦に出演。

*2:藤井校長が私立恵比寿中学の新メンバー募集を発表したが、以前から考えていたことなのだろうが、ここで起こったこととの関係はあるのかもしれないと思ってしまう。

*3:そもそも性の多様化が叫ばれている現代の社会状況を考えれば男女を対立の軸に据えること自体が保守化の極みにも見えてくるし、その点ももいろなんだからとそういうのにも対応しやすい。

*4:もちろん、そんな昭和のノリは見たくもないという若い人もいるだろうというのは想像はできるけれど、今回は真面目に歌って帰った木梨憲武とんねるず)、EXITも次にもう一度出ることになったら何かしら仕掛けるだろう。

*5:ジャニーズ事務所への忖度かアイドルとは自称していないが、活動内容からすればアイドルであろう。

*6:今はコロナ禍で身動きが取れないが、たこ虹は絶対この機会を逃さないだろう。演出などで親交の深いももクロあーりんとのプロレスも期待できるし。しかし、オタだからだれかいそうだが、たこ虹で誰推しなんだろう?

*7:そういえばファーストサマーウイカは超がつくほどのユニコーンの大ファンらしいので、いつかユニコーン命のさくちゃんとも絡んでほしい。と書いていたがももクロ陣営はさっそくファーストサマーウイカの深夜ラジオに高城れにが乗り込み、第5回ももいろ歌合戦の出演の確約をもらった。この電光石火の動きがももクロだ。たこ虹陣営も頑張れ。

ABEMA PPV ONLINE LIVE ももいろクローバーZ「PLAY!」@完全版

ABEMA PPV ONLINE LIVE ももいろクローバーZ「PLAY!」@完全版


ももいろクローバーZ / PLAY! -LIVE MUSIC VIDEO-

ももいろクローバーZの配信ライブ「PLAY!」のアーカイブ(完全版)を視聴。VRなど最新デジタル技術を活用した場面から、アイデア勝負のアナログシーンまで4人の気鋭の映像作家(多田卓也、ZUMI、スミス、河谷英夫)が楽曲ごとに展開していく世界観が圧巻のインパクトである。生でのライブが困難になってから様々なアーティストが多様なスタイルのライブ配信に取り組んできたが、ももクロライブ配信は究極の配信ライブのひとつと言っていいと考えている。
そのことは最初の4曲を見ただけで、はっきり分かる。このライブ配信はプラットフォームがAbemaTV(いかも有料配信)だからおそらく日本国内の人、しかも大部分がももクロファンにしか見られていないと考えられるが。有料アーカイブ終了後でかまわないから、抜粋だけでも海外の人も見ることができるメディア(Youtube)とかでも公開してほしいし、円盤化もしてもらいたい*1と思う。
ももクロは「夏のバカ騒ぎ 配信先からこんにちは」*2をはじめ様々なスタイル(形式)でのライブ配信を手掛けてきたが、サプライズでのプロレスラーの登場などハプニング性を強調した「夏バカ」の配信などに比べ、MVなどにかかわった映像作家を複数起用し映像の完成度を重視、それにフィットさせるためももクロ自身のパフォーマンスの精度を高めたこともあり、いかに「生配信である」ことを強調するかがひとつの演出上の工夫となっていた。配信の視聴者に選択肢を与えて楽曲を選ばせるという演出」などはそうした工夫のひとつではあるが、複数回配信をするのではないから、選択されなかった楽曲がすべて(たとえ後から収録して何らかの形で救うにせよ)配信においては無駄になってしまい費用対効果からすれば本当にやるべき演出だったのかについては疑問が残るところがあった。

ももいろクローバーZ
ABEMA PPV ONLINE LIVE『PLAY!』セトリ

PLAY!(新曲) 多田卓也 XR(VRと実写のリアルタイム合成)
TDF 多田卓也 実写の錯視トリック 
マホロバケーション ZUMI CGと実写の合成
ゲッダーン  多田卓也 VR
MC自己紹介
チャイマゼロ (staygold)投票 床が動く演出
ゴリラパンチ 円谷プロ的特撮
DNA(でたらめ)投票 背景のスクリーン映像の前でのパフォーマンス(全体は実写)4
MC
あんた飛ばしすぎ スミス 収録した小芝居からのパフォーマンス
デコレ―ション
MC
ニッポン万歳 フロアの色付き台が日本列島というトリック
笑一笑 河谷英夫 箱を使ったトリック撮影
MCジャッキーちゃん
月色Chainon 作りこんだ背景でのパフォーマンス
銀紙飛行船(イマジネ)投票 ZUMI 作りこんだ背景でのパフォーマンス
クローバーとダイアモンド 多田卓也

simokitazawa.hatenablog.com

*1:円盤化発表されたようだ。投票の結果配信では披露しなかった楽曲も収録にはちょっと引っかかるが。

*2:simokitazawa.hatenablog.com

アメフラっシ大感謝祭2020@恵比寿ザ・ガーデンルーム

アメフラっシ大感謝祭2020@恵比寿ザ・ガーデンルーム

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【アメフラっシ】大感謝祭2020 第三部「がっつりライブ」ライブ部分抜粋(新曲以外)@20201229

現在私がもっとも注目している女性ボーカル&ダンスグループがアメフラっシである。ということがSpotifyの私個人の2020年の視聴アクセスランキングから分かった。私自身はあくまでももいろクローバーZのファンであり、他のグループはあくまでそれとの関係から聞いていたという認識だったのだが、こういう数字的な結果から見ると認識を改めざるをえないかもしれない*1
そういうわけで、コロナ感染者が急増している現状で、(ニコニコ生放送での配信もあるようなので)ずいぶん迷ったのだけれど、今年最後のライブに出かけてみることを決めた。結論からまずいうと今回のライブは本当に素晴らしくて、会場でそれを体験できたのは至福の経験だったが、ニコニコ生放送はしばらくアーカイブを残している*2ようなので、妹グループをあまり知らないというももクロファンもぜひ見てほしいと思う。イメージが一変するはずだ。
「新曲試演会」が第1部。冒頭で「 BAD GIRL」を初披露。少し洋楽っぽいというか、K-POPに寄せたような香りのする楽曲でパフォーマンスを含めてスタイリッシュそのもの。
こういう楽曲をこともなげにこなしてしまえるのが、アメフラっシの強みであり、ネット上では「最近アメフラっシってこんな風なの?私はどうも」との声もあったようだが、第三部のライブを見てもらえばもっとはっきり分かるように楽曲内容の広がりにおいて新たな武器をまたひとつ手に入れたということじゃないかと思う。
 第一部ではゲストで「明後日の方向へ走れ」「雑踏の中で」「STATEMENT」の作曲者である藤田卓也氏が登場。彼のピアノ独奏でのアコースティックバージョンのパフォーマンスが披露されたが、通常のアレンジとはまったく異なる趣きで、こうしたことをこなすには相当以上の歌唱力が必要だが、このグループにはそれがあるということをはっきり見せつけた。改めて感じたのだが、小島はなの歌が素晴らしい。アメフラっシを引っ張ってきた愛来鈴木萌花の歌のうまさはもちろん健在だが、小島はなのこの日の歌は年長組2人に何のひけもとらないと感じさせるもので、安定度ではむしろ上回っているのではないかとも感じた。市川優月の一層の進歩も併せて、4人のアンサンブルのバランスはより高い次元に進化したことを感じた。バラード調でピアノだけで歌い上げた「STATEMENT」はももクロの「灰とダイヤモンド」を思い起こさせるようなところもあった。
 続けてもうひとつの新曲「starring at you」も披露された。これはまだ楽曲アレンジなどはこれから行うという段階で歌割りもユニゾンが多く、仕上がった時にどんな風になるかは不明なところもあるが、こちらもキラーチューンになりそうな予感のする楽曲だった。
アメフラっシ感謝祭第2部はバラエティのノリに油断していると突然のあーりんが降臨。そして、最後は4人で「勇気のシルエット」。恵比寿ガーデンホールは3Bjuniorが最後にこの歌を歌った会場であり、アメフラっシが生まれた場所でもあった。
とはいえ、この日の白眉というか、圧巻だったのが第三部の『がっつりライブ2020』である。ももクロに例えて言えば会場規模は異なるが、最初の横浜アリーナ2日目といったところだろうか。映画館でおなじみの「20th Century Fox Fanfare」をOverture代わりに登場した後はMCを一切挟まず13曲をノンストップでパフォーマンスしてみせた。私はアメフラっシをアイドル界屈指の戦闘集団だと思っているのだが、集中した時に見せる気迫は鬼気迫るものがある。この日のパフォーマンスを見る限り、アメフラっシにはライブを俯瞰してみるような視点はまだ乏しく、ももクロやたこ虹のような緩急はないけれど、一発勝負短期決戦ならスタプラ最強の位置にいるのではないかと感じた。今年は対バンも難しく、フェスもほとんどがオンラインフェスであったが、来年以降コロナ感染の状況が改善し、外に撃って出ることが可能になったら、他流試合で相手ファンを黙らせるだけの実力を身に着けたのではないかと思う。
 この日感心させられたのは「メタモルフォーズ」「MICHI」や新曲など最近の楽曲のよさはもちろんなのだが、歌やダンスの進化によって過去曲が確実にアップデートされていることだ。どの曲も素晴らしかったが「Dark Face」「BAD GIRL」「STATEMENT」「グロウアップ・マイ・ハート」の終盤4曲の怒涛の畳み掛けは圧倒的な勢いを感じさせた。
 

アメフラっシ大感謝祭2020
恵比寿ザ・ガーデンルーム
[1部]『新曲試演会』

M1 BAD GIRL(新曲)
M2 MICHI
MC 自己紹介

シークレットゲスト
藤田卓也さん ピアノ伴奏
M3 明後日の方向へ走れ
M4 雑踏の中で
M5 STATEMENT
MC
M6 starring at you(新曲)

アメフラっシ大感謝祭2020
恵比寿ザ・ガーデンルーム
[2部]『第1回日本アメデミー賞』
(ゲストMC 山本昇)

M1 Don't Blink(B.O.L.T)
M2 勇気のシルエット(アメフラっシ)

アメフラっシ大感謝祭2020
恵比寿ザ・ガーデンルーム
[3部]『がっつりライブ2020』

SE 20th Century Fox Fanfare
M1 Rain Makers!!
M2 メタモルフォーズ
M3 MICHI
M4 フロムレター
M5 ハイ・カラー・ラッシュ
M6 轟音
M7 Over the rainbow
M8 雑踏の中で
M9 ミクロコスモス・マクロコスモス
M10 Dark Face
M11 BAD GIRL
M12 STATEMENT
M13 グロウアップ・マイ・ハート

[1部]『新曲試演会』
[2部]『第1回日本アメデミー賞』 (ゲストMC 山本昇)
[3部]『がっつりライブ2020』

日時:2020年12月29日(火)
場所:恵比寿ザ・ガーデンルーム
[1部] OPEN 12:00/START 12:30
[2部] OPEN 15:30/START 16:00
[3部] OPEN 19:30/START 20:00
特典会(3部共通):17:40~19:10

simokitazawa.hatenablog.com

*1:ちなみにYoutubemusicの同様のランキングでは1位はたこやきレインボーであった。

*2:live2.nicovideo.jp

ダムタイプ、幻の新作パフォーマンス《2020》が3日間限定で無料配信へ

ダムタイプ、幻の新作パフォーマンス《2020》が3日間限定で無料配信へ

 ダムタイプ「2020」の配信映像を配信映像を拝見。新世代のアーティストが何人も参加しているが、それでいて「これぞダムタイプ」という作品になっているのが嬉しい。しかも、今回は前期作品の音楽を古橋悌二と一緒に担当した山中通が音楽提供でひさびさに参加したばかりではなく、自らターンテーブルのDJプレイも見せ、後期の音楽を手掛けた池田亮司も参加することで、私がダムタイプの最盛期と考える「PH」「S/N」の時代のテイストを感じさせたのも嬉しいことであった。

《2020》は、《pH》(1990初演)をはじめ、《S/N》(1994)、《OR》(1997)、《memorandum》(1999)、《Voyage》(2002)など、伝説的な作品の数々により、日本のみならず世界でも評価が高いダムタイプの新作。高谷史郎をはじめ、山中透、池田亮司、古舘健、原摩利彦らのほか、オーディションによって選ばれた10代のダンサー・アオイヤマダも参加している。

bijutsutecho.com
simokitazawa.hatenablog.com
12月25日10時〜27日23時59分限定公開
www.youtube.com